第一話
[1/2]
前書き [1]次 最後 [2]次話
リアンは激しく上下する馬上で視界に巨大樹の森を捉えていた。今までの壁外調査により発見された数十メートルはある木が密集する森だ。立体起動装置を生かすのにあんなに良い場所は無い。
視界に映る巨大樹の森の上に赤い煙が打ち上げられた。前方の班が巨人を発見したのだ。
「前方から巨人多数!」
前方から巨人の存在を知らせる怒号が響く。
リアンは命令を伝えようと剣を上に向けた。
「左方へ迂回!森に着き次第、立体起動装置を使用せよ!」
すかさず馬の鞭を打つ。リアンが左に動くと班員もそれに続く。森まで来たら木の枝から巨人の位置を見て班員の安全を確保しなければならない。ここからは班長である自分の決定が班の命運を左右する。
しばらくして森が前に迫ってきた。
前に進み続ける馬の上からタイミングを計って跳躍し、トリガーを引きアンカーを木に刺す。
すぐにガスを吹かすと足が宙に浮き、激しい風が体を包む。馬が慌てずちゃんと周辺で待っているのを確認し、目を森の中へ走らせる。
森の中を進む内にリアンの目が一体の巨人を捉えた。7メートル級だ。リアンは巨人の方へ体を向け、自分と巨人の延長線上の木にアンカーを刺した。ガスを大目に吹かし後は体を慣性に任せて、巨人のうなじを目に捉え続けながら巨人の弱点であるうなじの縦1メートル幅50センチの真ん中を深く切り裂いた
巨人が肉が切れる音と共に地面に倒れる。
「討伐数、1!!」
リアンは声を張り上げると体を再び森の奥へ向けた。班員が気になり少し後ろを見たが一人として欠けた物はいない。
「全員、異常はないか!」
「異常ありません!全員無事です!」
それを聞いてリアンは少し落ち着いた。訓練所から出た訓練兵が調査兵団に入って4年後に全て死んでしまうと言われるほど調査兵団の死亡率は高い。リアンも人の事を心配出来るほどベテランではないが自分の心配をすると死ぬ事ばかり考えてしまう。他人の心配をして自分の事を考えない様にしているのが楽だった。
巨人の血で汚れた刃を捨て鞘から取り出した新しい刃に取り換える。
「左方に15メートル級!」
班員の一人が巨人を発見したらしい。そこに目をやると、筋肉質な巨人が歩いているのが見えた。
距離はそう遠くない。アレを仕留めよう。リアンはそう考えた。
「巨人の腱を無力化しろ!!俺がうなじを切る!」
「「「ハッ!!」」」
班員が訓練通りの動きを見せる。全ての班員が訓練と大体同じの位置につくと、全員が行動を起こせるタイミングを見計らって班員達とリアンが動き出す。
二人の班員が巨人の両足に迫る。リアンは巨人の注意を引きながら正面から巨人に迫った。前から迫る餌を見つけて巨人が笑う。見ていると憎悪が湧き立ち、自分の家族を殺された時
前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ