暁 〜小説投稿サイト〜
豹頭王異伝
転換
精神接触
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
た。
 それ以上言葉を発してしまえば、溢れ出る想念の奔流を止める事は不可能。
 グインも、ナリスが一言に止めた理由を理解していた。
 ナリスもまた、グインが己の想いを理解している事を悟っていた。

(済まぬが俺は即刻、行動に移りたい。
 3日の間に各部隊を合流させ、神聖パロ側の勢力圏に移動する心算だ)
 ナリスは精神接触を通じ一瞬で、グインと古代機械の遣り取りを《知った》。
 古代機械に関する様々な推測、理解、発見、新たな疑問が無数に発生。
 驚異の機械について捲くし立て、グインと討論を始めたい闇雲な衝動に駆られる。

 遙か東方へ赴いたグインが体験したキタイ、竜の門が支配する旧都ホータンの現状。
 聖王宮にてレムスの内部に出現した東竜王、ヤンダル・ゾックの言葉。
 魔王子アモンの同類を孕み、倉庫に隠匿され時を待っていたと思われる数多の女達。
 早急に、手を打たねばならぬ。
 中原に存在する誰よりも強く、グインの懸念をナリスも共有していた。
 グインもまた、ナリスが懸念と焦慮を共有している事を疑っておらぬ。


(古代機械は、何処に隠したら良かろうか?)
 ナリスの脳裏に、光の円盤を地上から見た3次元映像が映る。
 地上に置けば目立つ事、此の上も無い。
(俺は以前、海中を自在に動く光の船を見た事がある。
 或いは湖の奥底、水中に隠す方が良いかもしれぬ)

(わかりました、リリア湖の中に小島があります。
 隠れ邸として利用していた建物、目立たぬ別荘も。
 マルガ市街の反対側の水面下に着けていただければ、都合が良いのですが)
(了解した、貴方は話が早くて良いな。
 取り敢えず失礼するが、直接対面する時を楽しみにしているぞ)

(こちらも同じですよ豹頭王様、ランドックのグイン)
 念話のコンタクトが、切れた。
(ヴァレリウス、聞こえたか?)
 ナリスが思考すると同時に、上級魔道師の心話が飛び込んで来た。


(ナリス様、上空に正体不明の物体が出現しました!
 白く光る水晶の様な物体ですが、閉じた空間を用いて現れたのではありません。
 接近を試みましたが、我々には未知の結界が張られています。
 黒魔道の幻術《イリュージョン》ではない様ですが、竜王の新たな攻撃かも知れません。

 状況次第では閉じた空間を使用し、サラミスへ脱出する必要があるかもしれません。
 御身体に負担が掛かる事が心配ですが、竜王が関係しているとあれば猶予はありません。
 私とロルカ、ディランがヨナを連れて寝室に行きます。
 急で申し訳ありませんが、事態は一刻を争うと思われます。

 お目覚めでいらっしゃいますか?
 睡眠中であれば、話が早い。
 そのまま、閉じた空間でお連れしますからね。
 くねくね
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ