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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第三十九章 戦場で踊る者達《2》
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わけではないが、もう少しやれると思っていた。
 しかし現実はそう甘くはなく、力の差は歴然だった。
 今のままでは勝てない。
 こりゃあ詰んだね、完全に。
 こうなっては無気力になるのも無理は無いだろと、ため息を吐いた。
 口だけ番長とはよく言ったものだ。自分のためにある言葉ではないのかと、そう思う。
 今更後悔しても遅いし、それにまだ諦めたわけではないので、
「もう少し、頑張ろうか! 火炎ノ緋翼――!」
『ピ――ヒョロロ――――』
 鳶|(とんび)に似た声が響いた。
 これが合図となり、反転し、迫る二本の流魔刀を正面に置いた。
 いけるか分からないが、迫る流魔刀を辰ノ大花の騎神の方へと誘う。そして、そのまま騎神本体に当たればそれでいいし、しなれけば流魔刀を導きながら戦闘を続行するまでだ。
 上手く行けば流魔刀を奪えるかもしれないし、流魔刀が追って来るので彼方は無闇にこちらと接触して来ない筈なので、防御面においても一役任せられるわけだ。
 迫る流魔刀をギリギリまで引き付けてからの勝負。
 粘っこい汗をかきながら、集中は切らさない。
 大気を切り裂く音と共に確実にこちらへと近付いて来る流魔刀を、ここぞというタイミングで避ける。
 が、ここぞというタイミングで正面に下から何かが割り込んで来た。
 それは長方形で、ケース代わりにコンテナを改造したものだ。
 見覚えのあるそれに、驚きから入直は目を見開いた。
『かなりボロボロだね、大丈夫?』
 同時に、入直の元に表示される一つの映画面。
 映るのは日来にいる継叉であり、その背後には他の機械部の連中がいた。
 目で彼らを捕らえる時、鉄のケースの向こうから冷たい金属音がした。
 二本の流魔刀がケースに当たり、弾かれる際に生じた音だ。
 彼方にも聴こえただろうが気にはせず、帽子の位置を整えながら継叉は言う。
『やっと整備終わったよ。機体の破損は予想よりも少しだけ酷い程度で、起動時間は後五分ってとこだね』
「一目見ただけでよく解ったね。つくづくアンタは操縦者向けだ思うさ」
『無茶言ってくれるよ。ぼくは騎神の整備が得意なだけで、そこから派生した知識で君より騎神に詳しいだけさ。操縦なんて目まぐるしいものはぼくには不向きだね』
「整備も忙しい時は目まぐるしいと思うけどね」
 仲間の声が聞こえる。
 何時も言葉を交わしている声が、この耳に届く。
『さあ、行っておいで。後数分で勝負が決まるんだから』
『オレとの賭け事忘れた訳じゃねえだろうなあ? お前があっちの騎神に負けたらオレの下で一生働くってな。嫌ならさっさと勝ってきな、日来の機械部がこんなにも弱いって広まったらこっちが堪ったもんじゃねえからよお』
 増田が継叉の後ろで、堂々と腕を組ながら言った。
 言ってくれる、と
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