第一物語・後半-日来独立編-
第三十九章 戦場で踊る者達《2》
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全身に痛みが走り、一瞬気が遠くなる感覚に襲われた。
勘違いするなって、これは痛みを伝播してるだけさ。
そう自分に言い聞かせ、何とか意識を保つことが出来た。
機体の負傷を告げる映画面|《モニター》が表示されアラートが響くが、今回は映画面を割る程の気力が無い。
痛覚を伝播する設定を切り、これ以上身体を傷付けることはしない。
これによって感覚が共有出来無くなり、操縦精度はがた落ちだ。
くそっ、と一言。言い捨て一度距離を取る。
背後から銃撃による攻撃を受けるが運のいいことに、操縦精度が落ちたことにより機体が揺れて標準を上手く定められず直撃した銃撃は少ない。
が、このままではいけない。
「どうにかしないとヤバいね。機体が負傷したから燃料が外に流れてる。このままだと後五分が限界か……」
たった五分で勝てるのか、と不安になる。
多分、一番自分が負傷しているのではないかと思う。
二人。
マギトは魔法術師であり、公式試験を受けていないが魔女クラスの実力だと聞く。
ネフィアは戦闘貴族の御令嬢。半獣人族であるため人族の自分なんかより身体能力が圧倒的に上だ。
それなのに自分は火炎ノ緋翼の操縦者になっただけで、自分自身には機械いじりという特技しかない。
悔しいが、実力差でいえば三人中一番最下位だ。
それでも負けたくない。
思う入直に向かって、新たな攻撃が加わる。
流魔刀による投てき攻撃。
高速で回転し、こちらに向かって来る。
しかし、不思議なことにその投てきは手によって行われたものではなかった。
脚型加速機|《レッグスラスター》に装着された流魔刀が自動で宙に放たれ、回転を始め、向かって来たのだ。
不思議に思う入直に向かって、彼方の騎神は答えを与える。
『解らないか? 前に武器装着部から短機関銃が放たれ、お前の騎神を撃ったのと同じだ。流魔刀にそのようにプログラミングして、後はそれを行うだけだ』
「なるほどね。アンタが持ってる武器全部、そういう風になっているってわけかい」
『理解しても避け切れるものではないがな』
と、回転し行く流魔刀が回避を行う火炎ノ緋翼に向かって、軌道を変えて追って来た。
追尾の能力も持っているのかと、全く嫌になる。
『一本だけだと思うなよ』
言うと、火炎ノ緋翼から青のしぶきが上がった。
一瞬理解出来無かったが、後になって解った。
腹部に刺さったままだった流魔刀を、離れた距離から操作したのだ。
抜かれ、そこから燃料がしぶきを立てて放出された。
だが、それだけでは終わらない。
抜かれた流魔刀は先に放たれた流魔刀と同じく、回転しこちらへと迫る。
「ほんとにヤバいね、これ。まさか、こんなにボロボロになるとは思わなかったさ」
過信していた
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