第一物語・後半-日来独立編-
第三十九章 戦場で踊る者達《2》
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い。
痛覚の伝播を弱く設定してあるものの、それでも消えぬ痛みが身体を強張らせる。
こんな設定にしたのには理由がある。
一つは、火炎ノ緋翼の操作をし易くするため。
痛覚を共有しているということは感覚を共有しているということで、作業用騎神の割には大きい火炎ノ緋翼だが細かい作業が可能になる。
もう一つは、自分がイメージした通りの動きを再現するためだ。
先程イグニッションを行ったが、あれは練習無しの一発本番で成功するようなものではない。
加速機の噴射を間違えれば故障と見なされ、機体の操縦が一時的に無効となり、操縦不可能になる可能性がある。
しかし、一心同体ということはこちらが得たものは火炎ノ緋翼が得たものとなる。ので、やったことの無いイグニッションも成功をイメージしたならばそれが火炎ノ緋翼に伝播される。
後は機械的判断で、何処をどうすればイメージ通りに行えるかを計算してくれれば、ほぼ百パーセント成功するというわけだ。
ところで今の自分は制服兼作業着のまま、高速で空を行っているわけだが。何もしていない状態なら、確実にヤバいことになるだろう。
だが安心してほしい。
火炎ノ緋翼を中心に半径二五メートル以内では、自分はあらゆる状況下において無敵である。
これは火炎ノ緋翼を軸に加護を発動しているためであり、無論加護を使う際に金額や流魔やらの消費が頭を悩ます。
話しが逸れたが、一心同体であるため負けない。
絶対に負けない。
火炎ノ緋翼には、感情に似たものがある。
機械的なものではあるものの、自分をちゃんと自身の操縦者ということも理解しているし、機械音を使い笑ったりもする。
完成して幾年も経っていないが、四六時中一緒に一日を過ごしたことも何日もある。
だから、そんな仲である自分達が仲間を見捨てるような者に負ける筈が無い。
それに増田との賭け事もあるしね!
これに勝ったら、機械部の学勢達を仕切れるのだ。つまりは好き勝手出来る幅が広がると言うことだ。
急に高笑いした敵を見て、相手は別の意味で入直を怖がった。
よし、と一言。入直が再び仕掛ける。
一撃を与え、離れた距離を再び縮める。
「もう一発!」
『図に乗るな、今度はこっちの番だ!』
右の拳を振ろうとした火炎ノ緋翼に向かって、戦竜は右手に握る流魔刀を振る。
直線的な斬撃のため、回避は簡単だ。
バックステップを入れ、回避を行い攻撃を抜ける。
が、攻撃は当たった。
「何……!?」
腹部に痛みが走る。
これはなんだと、自分は怪我をしてないのだからこれは火炎ノ緋翼から伝播された痛みだ。
火炎ノ緋翼の腹部を見れると、そこには一本の流魔刀が突き刺さっていた。
理解出来た直後、機体に向かって銃撃による追撃を受けた。
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