崑崙の章
第3話 「治療できないからです! 少し黙って!」
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ぎるとまずい、とのことで人肌に冷ましてあります。ゆっくり、一口ずつ飲ませろ、とのことです」
「私がやりますわ……さあ、桔梗。あーんして」
「あ、あーんって……いつつ、そ、そんな歳ではないのだぞ、まったく……」
桔梗は顔を真っ赤にしながら、一口だけ飲み……さらに顔を真っ赤にさせていた。
―― 盾二 side ――
「もし……北郷さん……」
「ん……あ?」
誰かに揺すられて目を覚ます。
眠りが浅かったため、すぐに目を覚ました。
「ああ……黄忠さん」
目を覚ました俺の前にいたのは黄忠さんだった。
疲れて眠ってしまったので、部屋に運んだはずだったんだが。
俺が窓の外を見ると、日は昇ってしばらく経っていたようだ。
「すいません……起こしていただいて感謝します」
「いえ……こちらこそありがとうございました。桔梗を救っていただいて」
「ふん……助かったのならば、この痛みもどうにかせんか……つつつ」
寝台の上から別の人の声もする。
どうやら厳顔さんも目を覚ましたらしい。
俺は、身体を起こして立ち上がる。
「やっぱり痛みますよね……何とかできるかわかりませんけど、しばらく我慢してください。俺は市場にいきます」
「市場に?」
「ええ……できれば手に入るものを探したいのですが。人手が欲しいんです。親父さん、手伝ってくれませんか?」
「ええと……まあ、しかたありませんね」
宿の主人は、渋々頷く。
「すいません。もろもろの費用は全てお支払いします。お礼もはずみますので……」
「はあ……」
「ま、まてい!」
厳顔さんが声を上げる。
「わ、わしのための治療じゃろう。儂が払うわ……つつっ」
「……わかりました。最終的にまとめてということで。とりあえずの代金は私が出しますから」
昨日の黄忠さんの件もある。
武人のプライドを傷つけないように、明言は避けておく。
「わたくしもお手伝いしますわ」
黄忠さんが申し出てくれる。
ありがたいんだけど……
「では厳顔さんを看ていてください。絶対に起こさないように。あと、甘酒を少しずつでいいので飲ませてください。点滴の代わりです」
「てん、てき?」
「えっと……栄養をとるために必要なんです。治りを早くしますし、甘さは痛みを緩和しますので……」
「ああ、わかりました」
甘酒の成分は点滴とほぼ同じ。
経口摂取なのが問題だが……仕方がない。
未熟なヤシの実で点滴の代用も出来るそうだが……危ないからやるなとラムディ爺さんが言っていたな。
「女将さんには麹を手に入れて、それで甘酒作るように伝えてください。そちらのほうが甘みも出ますし、栄養素も豊富で
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