崑崙の章
第3話 「治療できないからです! 少し黙って!」
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句なら後でいかようにも!」
そう言って、ほとんど破れかけている腕と足の部分の服を千切る。
さすがに胸や腰の服は取らない。
「あとはどうし……なにをしているのです!?」
風呂に入ってきた黄忠さんが、彼女の様子を見て声を荒げる。
決まっているだろう、時間を短縮しているんだ!
「下着を脱がせて、全身の泥を洗い落としてください。できるだけしっかりと少しも残さないように。ただし、擦ってはいけません。俺は外に出ます。終わったら布を羽織らせてください。また俺が運びます」
「……わかりました」
「出来るだけ急いでください。血が流れすぎると失血死する恐れがありますから」
そう言って風呂を出る。
部屋に戻ってオリハルコンナイフと、小さな木工用に仕立てたナイフを取り出し、厨房へと向かう。
火で炙って消毒するためだ。
「親父さん、火を借ります。あと、できるだけ綺麗な針と糸はありませんか?」
「あ、ああ……針なら母ちゃんが。糸は……絹糸があるが」
「どれです……よし、いける」
かなり太いが、編んである糸だ。
こよりのように編んであるのをほぐして、細い糸にする。
糸をばらし終えると、宿の女将さんが針をいくつかもってきた。
畳針みたいなのもあったが……衣類補修用の小さい針があった。
「このほぐした糸を沸騰したお湯につけてください。そのまましばらく煮込みます。この針も同じにしてください。その後、きれいな……そうですね、皿にでも乗せて俺の部屋に持ってきてください」
「い、いいですけど……一体何に使うんで?」
「治療です。縫合するんですよ」
「ほう……?」
主人は俺の言っていることがわからないみたいだ。
そう言えば、この時代に傷を縫い合わせる技術はなかったか?
「それより酒はありますか? できるだけ強いやつ」
「ええと……白酒ならあるが」
「どれです……う、これは強そうだ。これなら大丈夫そうですね。一瓶ください。お金は後で払います」
「は、はあ……どうぞ」
最初に渡した金払いの良さを信じたのだろう。
どんなものでも簡単に融通してくれるようだ。
「あとは綺麗な布を出来るだけ多く……寝台の敷布で綺麗なのがあれば用意してください。買い取ります」
「ええ……と。わかりました。どうするのです?」
「それをこれぐらい……そうです、人差し指の長さでいいです。それぐらいに切って下さい。長ければ長いほどいいです」
「あいよ。あたしがやるわ」
親父さんが何か言う前に、女将さんがすぐに応じた。
なるほど、女性上位の世界だったな。
「あとは多めの布を俺の部屋に……綺麗な台の上においてください。それと部屋に大量の灯りを用意してください。油灯でも
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