崑崙の章
第2話 「石を掘りにいくんですよ」
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約されていた。足は基本踏みしめはするが、蹴りなどはあまり使わない傷のない肌……近接でなく遠距離が得意なタイプか)
遠距離武器を主体に想像を修正して、それに対する戦闘を練る。
弓、投擲、投げ槍……クロスボウなど、どんな武器を使おうとしても、相対して動きを封じる殺陣の組み立てを想像する。
そして最後には必ず、向かってくる彼女の背後に回り、羽交い絞めにして首を――
ドンドンドンドン!
「!?」
不意に鳴った音で我に返る。
気がつけば窓の外は暗くなっており、部屋の中に灯りもなく闇の中。
どうやら、脳裏でシミュレーションをしている間に、相当時間が経っていたらしい。
俺が寝台から起き上がると、扉のほうへと向かう。
「すまん! ここに黄忠という女性がおるはずじゃ! っく……よ、呼んでもらえんか!?」
大声で宿の主人と話す女性の声がする。
黄忠……確か、そういったな。
俺は扉を開けて、入り口の方を覗く。
灯りに照らされた、その人物の姿を見て驚く。
服は破れ、ところどころに血の痕がある。
全身は泥だらけで、今も足元から血がかなり滴り落ちていた。
持っている巨大な剣のような武器を杖代わりにしている。
何故かリボルバーのようなものがついているが。
「桔梗!?」
部屋から出てきた黄忠さんが、声を上げる。
知り合いなのか?
「いたか、紫苑……すまん、不覚をとった」
女性はそう言うと、がくっと膝を折る。
「桔梗!」
黄忠さんが駆け寄り、その身体を支える。
俺は扉を開け、彼女達の傍へと駆け寄った。
「……傷を見せてください」
「ふっ……こんな傷、どうということはないわい。それより紫苑、まずいことになった」
俺の手を払いのけ、黄忠さんを見る女性。
「なにがあったの!?」
「……白帝城の太守が、攫われた」
その言葉に、宿中の人間が凍りつく。
だが俺は……彼女の血と泥だらけの姿の方が問題に感じていた。
このままでは彼女は……死ぬ、と。
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