崑崙の章
第2話 「石を掘りにいくんですよ」
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(その中で劉備が元の歴史のままでは……同じ末路をたどるだろうな)
赤壁の後、十数年に亘る三国の小競り合い。
そして定軍山の戦いで夏候淵が死に、樊城の戦いで関羽が死に。
そして蜀の没落が始まるのだ。
(関羽……愛紗が死ぬ、か)
あの愛紗が……
「……ダメ、だな。やっぱ」
俺は呟いて、起き上がる。
(愛紗が死ぬ? ふざけんな……死なせるもんかよ)
白蓮の客将として……初めてこの世界で軍として戦ったあの時。
二千の兵を率いるという、初めての経験に緊張していた俺。
あの時、弱気になっていた俺に微笑みかけてくれた愛紗。
『だからお優しいのですよ』
あの言葉と笑顔が……どれだけ励みになったか。
(そんな愛紗が死ぬ? 冗談だろ……ふざけんな!)
ギリッ!
知らず歯軋りをしていた俺。
そうだ、愛紗は殺させない。
(確か……関羽は、夏候淵を殺し、その報復で曹操は孫権と組み、呂蒙と陸遜に殺されたのだったな)
呂蒙、陸遜。
呉の武人と軍師……どちらも三国時代でかなりの才を発揮した人物のはずだ。
(俺が……今のうちに殺すか?)
二人を抹殺すること……このAMスーツがあれば。
だが、相手がどんな力を持っているかわからない以上、油断できない。
強力な力を発揮するAMスーツとはいえ、絶対ではないのだ。
(それに、孫策……雪蓮がいる呉、かあ)
好意を寄せてくれる相手の部下……その家臣を殺す。
できるなら……したくはない、な。
(そうなると……殺るなら夏候淵、か)
確かあの時……曹操の傍にいて突っ掛かってきたのが、夏候惇だったはず。
ならば、 もう一人……あの場にいた青い髪の女性のほうか?
確かに武人としての力は感じたが……夏候惇に比べればはるかに弱く感じた。
あれなら……暗殺もできるだろう。
(暗殺……か)
S級工作員、スプリガン。
その養成を受けていた俺だ。
やってやれないことではない。
(相手はライカンスロープでも、サイボーグでもない。あれならば……)
俺は目を閉じ、相手の姿を思い浮かべる。
いつも対人戦の前にやっていた、イメージトレーニング。
曹操と一緒にいた夏候淵。
あの時感じた相手の力量を少し上増しして、大まかなイメージを作る。
そして愛紗や鈴々と比較しながら、強さを調整した夏候淵をイメージして……
どんな武器を使うかわからないから、数千種の武器を持たせて対峙させる。
そして脳内でのバトル……何千という回数を行い、状況をシミュレートする。
(あの身のこなしと肌のきれいさ……筋肉と闘気は、上半身に集
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