崑崙の章
第2話 「石を掘りにいくんですよ」
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
―― 盾二 side ――
はー……まいった。
確かに会ったばかりの男に『ここは奢るよ、気にすんな』じゃ警戒するよなぁ。
しかも相手は、かの名高き黄忠だ。
下心がある……とでも思われたかもしれない。
「俺って……馬鹿だなあ」
麻袋を台の上に置いて、寝台に横になる。
くすんだ天井を見ながら、再度溜息を吐いた。
最近一人で旅をして、開放感で浮かれていたのかもしれない。
桃香達と出会ってからこっち、いつでもどこでも女性の目があった。
この世界は女尊男卑……基本、男より女のほうが圧倒的に強いらしい。
詳しく聞いてみると、女性は生まれながらにして気を使うことを本能的に知っている。
そのため、厳しい鍛錬してようやく気というものに触れる男と違い、女性は少しの鍛錬で気を扱えるようになるらしいのだ。
だから世に名を残す多くの人物は、基本女性であるらしい。
例外はどこにでもあるだろうが。
(まったく……どういう世界だよ。生み出した一刀が、マゾだったとしか思えんのだが)
まあ、男は基本マザコンだというしな……本能的なところで生み出したらこうなるのだろうか?
だとしたら、そのコピーである俺も……
「いや! やめやめやめ! なんか怖いっ!?」
知らなかった性質に目覚めるなんてお断りだ!
「はー……それより、どうしたもんか」
黄忠さんなー……
一応、あとで桃香の元に来るかもしれない人だ。
ここで関係をこじらせたままにすると、俺がその歴史を変革させてしまいかねない。
いや、変革するのはいいんだが……俺や一刀にとって、不利益になるような変革は困る。
(一刀が目覚めれば、当然恩のある桃香に手助けしようとするだろう。となれば……やっぱまずいよなぁ)
ただでさえ梁州という、歴史変革をしているのだ。
ここで黄忠が劉備陣営に入らないなんて変革は、今後の展開によっては致命的になりかねない。
(蜀の建国……それは劉備にとっては絶対条件のようなものだ。だからこそ、無理をして歴史改変なんていう博打をしたんだ)
あの時……まだこの世界が作られた世界――外史であるということを知る前。
俺は、最悪自分が消失する覚悟で霞に要望を伝えたんだ。
その博打に勝ったというのに……こんなことでそれが台無しになることは避けたい。
(北の覇王……曹操は、間違いなくこの世界でも北のほとんどを統べるだろう。東の孫堅……は、何故かいない。だが、孫策がすでに台頭している)
孫策は確か……小覇王と呼ばれたのだったか。
跡を継ぐ孫権もいるとのこと。
であれば……確実に呉は建国、いや復国されるだろうな。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ