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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
崑崙の章
第2話 「石を掘りにいくんですよ」
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  ―― 盾二 side ――




 はー……まいった。
 確かに会ったばかりの男に『ここは奢るよ、気にすんな』じゃ警戒するよなぁ。

 しかも相手は、かの名高き黄忠だ。
 下心がある……とでも思われたかもしれない。

「俺って……馬鹿だなあ」

 麻袋を台の上に置いて、寝台に横になる。
 くすんだ天井を見ながら、再度溜息を吐いた。

 最近一人で旅をして、開放感で浮かれていたのかもしれない。

 桃香達と出会ってからこっち、いつでもどこでも女性の目があった。
 この世界は女尊男卑……基本、男より女のほうが圧倒的に強いらしい。

 詳しく聞いてみると、女性は生まれながらにして気を使うことを本能的に知っている。
 そのため、厳しい鍛錬してようやく気というものに触れる男と違い、女性は少しの鍛錬で気を扱えるようになるらしいのだ。
 だから世に名を残す多くの人物は、基本女性であるらしい。
 例外はどこにでもあるだろうが。

(まったく……どういう世界だよ。生み出した一刀が、マゾだったとしか思えんのだが)

 まあ、男は基本マザコンだというしな……本能的なところで生み出したらこうなるのだろうか?
 だとしたら、そのコピーである俺も……

「いや! やめやめやめ! なんか怖いっ!?」

 知らなかった性質に目覚めるなんてお断りだ!

「はー……それより、どうしたもんか」

 黄忠さんなー……
 一応、あとで桃香の元に来るかもしれない人だ。

 ここで関係をこじらせたままにすると、俺がその歴史を変革させてしまいかねない。
 いや、変革するのはいいんだが……俺や一刀にとって、不利益になるような変革は困る。
 
(一刀が目覚めれば、当然恩のある桃香に手助けしようとするだろう。となれば……やっぱまずいよなぁ)

 ただでさえ梁州という、歴史変革をしているのだ。
 ここで黄忠が劉備陣営に入らないなんて変革は、今後の展開によっては致命的になりかねない。

(蜀の建国……それは劉備にとっては絶対条件のようなものだ。だからこそ、無理をして歴史改変なんていう博打をしたんだ)

 あの時……まだこの世界が作られた世界――外史であるということを知る前。
 俺は、最悪自分が消失する覚悟で霞に要望を伝えたんだ。

 その博打に勝ったというのに……こんなことでそれが台無しになることは避けたい。

(北の覇王……曹操は、間違いなくこの世界でも北のほとんどを統べるだろう。東の孫堅……は、何故かいない。だが、孫策がすでに台頭している)

 孫策は確か……小覇王と呼ばれたのだったか。
 跡を継ぐ孫権もいるとのこと。
 であれば……確実に呉は建国、いや復国されるだろうな。

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