崑崙の章
第2話 「石を掘りにいくんですよ」
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―― 盾二 side 白帝城 城下 ――
菜館での一件があって、しばらく璃々ちゃん親子と話をすることになった。
お母さんの名前は黄忠というらしい。
……確か五虎将の一人だったよな。
子持ちですか……いや、考えてみればそうだな。
女性で適齢期なら、結婚して子供がいても何もおかしくはないだろう。
とすると……璃々ちゃんも未来の武将の誰か?
(返す返すも三国志を読んでおけばよかったよ……璃々ちゃんがどんな武将になるか予想も出来ただろうに)
そんなことを考えつつ、彼女の泊まっているという宿へと向かう。
聞けば黄忠さん、友人に用があってこちらに来たらしい。
だが、その友人との連絡待ちで三日ほど、足止めを食っているとのこと。
「えっと……黄忠さん?」
「はい」
「もしかして……どこかの太守かなにかしていらっしゃいます?」
「あら? ご存知でした?」
いえいえ、知りませんとも。
だけど、予想はしてました。
「実は……以前は夷陵の太守をさせていただいていましたけど、お暇をいただきましたの」
「お暇? もしかしてどこかに仕えて……?」
「ええ。こちらの劉表様に、夫ともども仕えておりました。ただ……」
そう言って少し顔を伏せる。
「……夫が亡くなりまして」
「あっ……これは、失礼を」
しまった。
地雷を踏むとはこういうことなんだろう。
「いえ……それで、劉表様が黄巾討伐に出兵なさる直前に、お暇させていただきました。今のわたくしは……この子しかありませんので」
「……わかります。とても利発な子とお見受けします。愛情深く、育てられているのでしょう」
「そんな……いえ、はい。わたくしにとって、この子が唯一の宝ですから」
黄忠さんは、璃々ちゃんを抱き上げて胸に抱く。
璃々ちゃんは、喜びながら黄忠さんの顔に擦り寄っている。
二人の間には、誰も入れないような愛情を感じた。
(母親、か……)
俺にはそんな記憶などない。
生まれてすぐ捨てられていたという、育ての親の……傭兵の言葉しか、記憶にない。
それから……
(……?)
それから……俺は?
「あれ……?」
おかしい。
俺……それから……どうして、いた?
俺って……ナニ、ヲ
「……し、どうしました? もし?」
「……ハッ!」
あ、あれ?
俺、なにを考えていたんだっけ?
「どうしたのですか?」
「あ、ああ。すいません。ちょっとボーっとしてしまいました……疲れてるのかな?」
はて?
なにを考えていたんだっけ?
「大丈夫ですか? 旅の疲れが出た
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