第百五十四話 ヴァンフリート星域会戦 その3
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裏切り者だからな」
そう言いながら、彼等はローゼンリッターの悲惨な末路を気の毒に思いながらも、自分達が無事生きられるようにと思うので有った。
■ヴァンフリート4=2後方基地 ローゼンリッター詰所
会議室ではローゼンリッター連隊二千名が一堂に会していた。
皆が緊張する中、連隊長オットー・フランク・フォン・ヴァーンシャッフェ大佐が落ち着かぬ様な仕草で壇上に上がる。
「諸君、我々は今非常に困難な状態に置かれている。聞いていると思うが、先ほど帝国軍一個艦隊がこの基地を襲撃してきた」
連隊長の絞り出すような声に顔を顰め隣の者達と顔を見合わせながら不安そうな表情をする若い兵達と不敵に連隊長の怯え振りを冷ややかに見つめる古参達の対照的な態度にも気が付かずに大佐は話し続ける。
「敵は基地司令セレブレッゼ中将に降伏勧告してきた」
「となると、我々も帝国へ再入国ですかな」
シェーンコップが不敵に笑いながら茶々を入れる。
「中佐、そんな生やさしい事ではない!」
シェーンコップの冗談も大佐には効かずに真っ赤に成って怒り出す。
「判りました、で我々はどうすれば宜しいのでしょうか?」
「それが、どうにも成らんから困っているんだ!」
「我々ローゼンリッターは、たいそう帝国軍には怨まれていますからな」
カスパー・リンツ大尉がシェーンコップと同じ様に大佐に茶々を入れる。
「それだからこそ、我々が捕虜に成った場合は帝国軍からの報復が……何故何故、私の時に敵が来るんだ、あと少しでハイネセンの冷房の効いたオフィスにいられた物を……」
部下に当たり散らすように怒鳴りつつ喋る大佐の後半の独り言は殆ど隊員には聞こえなかったが、シェーンコップには聞こえており、“部下に対しては尊大に、軍上層部には腰を屈め、政治家や財界人と交際を深める様になったが、地位の向上と権限の拡大に耐えるだけの精神的な骨格を持ち合わせていなかっただけか”と呆れていた。
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