第百五十四話 ヴァンフリート星域会戦 その3
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どう返答して良いか判らないセレブレッゼ中将は固まってしまった。
『いきなり、降伏と言っても大変でしょうから、基地内の意見を纏める為に一時間だけ時間を差しあげましょう』
暫しの無言の後、ケスラーが助け船を出して相談しろと勧める。それを聞いて呆然としていたセレブレッゼ中将をサンバーク少佐が突いて返答させる。
「閣下、ご返答を」
「あっああ、そうだな。ケスラー中将の御配慮に感謝する」
『良き返答をお待ちします』
双方が敬礼しつつスクリーンが切られる。
スクリーンが切られると司令室内は皆が皆キョロキョロと辺りを見回し、仕事に手が付かなくなる。
「直ぐさま、基地全体に事態を知らせるんだ」
中将が又思考の奥に逃避してしまった為に誰とも無くそう言いだし、基地全体に細評が伝えられる。
セレブレッゼ中将がケスラー中将からの降伏勧告に頭を悩ませている最中、基地内では帝国艦隊一個艦隊に包囲された事が、知れ渡りパニック状態に成る者達も彼方此方で出始め、口々に不安を言い合って居た。
「帝国軍は一万隻を超える大艦隊だそうな」
「不味いじゃないか、この基地は後方基地だから、そんな大軍と戦えるような設備はないぞ」
「対空防御システムも数が限られているからな」
「蟷螂の斧って感じかよ」
「更に問題は頭を押さえられて身動きが取れないことだ」
「逃げようにも全てお見通しって訳か」
「このまま、“司令が降伏はせん、総員玉砕せよ”とか言ったら、お前どうするよ」
「冗談じゃないぜ、俺は生きて帰るんだ、俺は今度の任務で満期除隊だから、幼なじみのアンナと帰国したら結婚しようって約束しているんだからな」
「アハハ、アンナはとっくに隣のイケメンの嫁に成ってるって落ちじゃねーのか?」
「そんな事はないぞ」
「しかし、万が一降伏するとしても、最近の帝国での捕虜の扱いは向上しているそうだからな」
「ああ、帰還兵からの話で聞いたよ」
「何でも門閥貴族出身の指揮官の捕虜になると、地獄の矯正区へ放置されるか、貴族の農園で農奴同然の強制労働を喰らうらしいが、皇帝や皇女の直衛指揮官だとローエングラム大公領って所の自治収容所で同盟における帝国捕虜のようにある程度の自由が認められているらしい」
「俺もそれは聞いた、エル・ファシルの英雄アーサー・リンチ大将閣下が自治委員長を務めているって話だろう」
「そう言えば、今回の敵司令官は貴族じゃ無いんだよな」
「ああ、知り合いのオペレーターから聞いたが、貴族じゃ無いそうだ。それに“人道に基づき名誉ある捕虜として扱う”と言っているそうだ」
「それなら、安心できるんだが……」
「俺達のような生粋の同盟人なら良いが、彼奴等はなぶり殺しだろうな」
「ああ、悪いが奴等は向こうにしてみれば、
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