第百五十四話 ヴァンフリート星域会戦 その3
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宇宙暦794年 帝国暦485年 4月1日 0時10分〜
■自由惑星同盟ヴァンフリート4=2 同盟軍後方基地
基地内の居住区の一室のベットで男女が抱き合っている。
「ワルター、次回の作戦が終わったらどうするの?」
「さあな、まあ何処まで行くかは判らんが、行ける所まで行くだけだな」
突然基地内に大音量の警報音が鳴り響いた。
極秘に作られた後方基地である安堵感からか、それとも戦闘に巻き込まれるはずがないと言うシンクレア・セレブレッゼ中将の言葉を信じたのか、司令室の当直以外が眠りに着いていた基地内は寝入りばなに突如唸り響く警報音に慌てふためく兵達で混乱し始めた。
「どうしたのだ?」
シェーンコップの基地内での女遊びの悪さに嫌みを言おうとして、ヴァレリー・リン・フィッツシモンズ中尉の部屋の近くまで行っていた基地司令官セレブレッゼ中将は慌てふためきながら司令室へ駆け込んできた。
「敵襲です!」
オペレーターが中将に振り返りながら報告を行う。
「何だと!それで敵の数は?」
セレブレッゼ中将の慌てふためく様は、普段であれば滑稽であろうが、敵襲中の姿は指揮官の威厳を著しく損なっている。
「気象条件が悪い為に正確な数は不明ですが、凡そ一万隻は越えています」
オペレーターが緊張しながらも出来る限り正確な数を報告するが、中将にしてみれば只単に驚きを助長する燃料に過ぎない。
「何だと!一万隻と言えば一個艦隊では無いか!そんな馬鹿な!あり得ん!何故こんな後方基地に一個艦隊などを……」
セレブレッゼ中将は檻の中でウロウロする熊のように司令室内を彷徨う。
「何があったのですか?」
「何が有ったのですかではない少佐!敵が襲来したのだ!」
ここへ来てやっと副官のサンバーク少佐が飛び込んできたが、セレブレッゼ中将は何処へ行っていたとばかりにあたる。
しかし、この日はセレブレッゼ中将が司令官室に詰めると言うからこそサンバーク少佐は自室で休んでいたのであり、当直ではなく、只単に中将が仕事中にも係わらずシェーンコップ中佐へ文句を言いに行ったのであるから、中将の職場放棄に過ぎないのである。
「敵の規模は?」
中将の責任転嫁にムカッと来たサンバーク少佐であったが、直ぐさま気持ちを切り替えて敵襲の規模を確認する。
「凡そ一個艦隊一万隻程です」
「閣下此は容易成らざる事態です」
「当たり前だ、どうすれば良いかを考えるのが貴官達の仕事だろう!」
パニック状態で部下達に当たり散らす中将を呆れた顔で見ながらサンバーク少佐は直ぐさま、中将に許可を得て通信士に連絡を取るように命じる。
「閣下、直ぐさま救援を求める通信を行いますが宜しいですね」
「あっああ」
「通信文、総司令部及び近隣の各艦
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