八話
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何か考えはないかと必死で頭をめぐらすが何も思いつかない
そんなレイフォンを見、男は苦笑して持っていた袋をレイフォンに手渡す
「もう無理だ、諦めた方がいい。少なくとも一年は置かなきゃ出すわけにはいかんよ。これは今回の分の賞金と、手切れ金だ。お前さんには随分と稼がせてもらったからな。色を付けさせてもらったよ」
渡された袋は重く、今までに受け取ってきたどれよりもはるかに多いことをレイフォンに実感させる
だが、それでも諦めきれないレイフォンの表情を見て、男は再び苦笑してレイフォンの頭に手を乗せる
「坊主。なんでお前さんがそんなに金に執着するのか、俺には分からん。だが、どうせ一年は出られねぇんだ、出稼ぎにでも言ったらどうだ? 聞いた話じゃ、他の都市じゃ有能な武芸者はここより数が少なく重宝され、ずっと払いがいいらしいぞ。お前さんの強さなら問題はあるまい」
もっとも、まだ早いかもしれんがなと男は呟く
何も言えず立ち尽くしているレイフォンをその場に残し、男は自分の持ち場へと戻っていく
「じゃあな。また、機会があったら会おうぜ」
背後から聞こえてきた小さな足音に、男は別れの言葉を告げる
その答えは返ってこず、扉の開く音に振り返り、小さく締まっていく扉を見ながら呟く
「……もしも、お前さんが天剣授受者だったなら……きっと、居続けられただんろうな」
小さく呟かれた言葉に気づくものは居らず、扉は僅かに軋む音を立てながらしまっていった
(出稼ぎ……かぁ)
あの時の言葉が何度となくグルグルグルグルと頭の中を巡り、レイフォンの思考を埋める
あの夜から数日間の間、考え続けた
今まで考えの片隅にはありながらも、本腰を入れて調べたことはなかった出稼ぎのことについて、時間をかけて調べた
なれないことについて頭を使い、時には頭痛を覚えながらも調べ、そして行くことに決めた
少ないながらもあった用意するものも買った
既に闇試合からの追い出しを受け、一月以上が立った今日、その旨を養父に伝えた
自分の意思を伝えた。自分が貯めた貯金をすべて当てれば、少なくとも向こう数年は孤児院を運営することができること。汚染獣の脅威こそ少ないものの、他都市では力のある武芸者はここよりも得られる給金が多いだろうこと
押し殺した静かな空間の中、様々な言葉の応酬を重ね、長くとも一年半を条件にレイフォンは許可を得た
養父によると、養父の兄弟子も外に出ており、かつて自分にも外への憧れの様なものがあったらしく、 これはサイハーデンの宿命の様なものだなと言って苦笑していた
そして今、レイフォンは目下最大の壁、リーリンのもとに向かっている
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