推定・戦闘
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はいえ、その原則を破るに足るとは思えなかったし、何よりあの回復力。どう考えても現代の医療技術では無い。だが、その未来の科学技術を全て前倒しにしたマシーンに心当たりがあった。言うまでもない……
――恐らく、あのISは使用者の体内に在って効果を発揮する。その効力は、聞いたことが無いが使用者の治癒。しかし、解らない。
何故、絶対の盾を捨ててまで治癒を選んだ?
シールドエネルギーの効率の問題か?いや、違う。一理はあるがそれだけだ。回復しきれないダメージを負えば、その時点でゲームオーバー。幾らなんでも天秤が釣り合わない。現に、幾らかダメージを負ってか切嗣の表情は苦悶に歪んでいた。
仮定U) シルバームーンの能力は治癒
仮定V) しかし、痛みは無効に出来ない。
――いや、この仮定は殆ど事実と見なしていいだろう。
一瞬、手持ちの武装を全て打ち込もうかと考えるが、即座に却下する。
――衛宮切嗣は痛覚を無視できる
現に、これまでその表情が歪むことが在ろうと、その手を止めることは無かった。即ち、一瞬でも動きを止めればこちらがやられる。全砲口を向ける余裕はない。ならば……
通信回線を開き、エムに呼びかける。来なさいと。
その直後、切嗣の背後からレーザーが照射された。見ると、エムとそれに対峙する敵は100mほど離れた場所で戦っていた。すんで回避した切嗣だが、スコールはそれを見ていない。
――戦線を押されている?あのエムが?
久しぶりの戦闘に勘が鈍っていたか。いや、盾無とでは多少地力に差が在ったか……
「エム、代わりなさい」
「っ!了解」
一瞬歯噛みしたものの、相性の悪さ、技術の違い、そして何より切嗣との雪辱。それらを一瞬で天秤にかけ、スコールの命を受け入れる。スコールの銃なら遠距離から攻撃が出来る。そして、スコールなら或は更識盾無と互角以上に戦える。
スコールとエムがその位置を入れ替える。自然と戦闘に空白が出来る。その合間を縫い、盾無が切嗣の隣に降り立つ。
「切嗣君!無事!?」
切嗣の服は所々破れ、血に濡れていたがそれでも立っていた。傍目には壮絶な有様だが、切嗣自身に問題は無い。ならば彼が言うべき言葉は決まっている。
「まだ戦える。問題ない」
切嗣は機械的に答える。
「でも、君、生身じゃない!」
珍しく盾無が動揺する。が、切嗣の視線は常に敵のISを捕らえて離さない。
「それより集中しろ。敵が動く」
誰が誰と戦うか、その決定権はスコール達にある。切嗣が飛べない以上、必然とそうなる。
――見立てでは、恐らく更識盾無と戦闘を行っていた敵が此方に向かって来るはずだ。そうでないなば、呼んだ意味が無い。
果たして、その通りになった。スコールとエムの基本に沿った、それでいて最高レベルで行わ
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