推定・戦闘
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「はっ」
左に避けた矢先、そこを弾丸が穿つ。爆破の威力はかつて無い程強烈で、英霊の技を間近に感じたような煽りを受ける。が、この手にはそれに匹敵するだけの力があった。
右手を振るう、瞬間、周囲の空間が歪み三条のレーザーが矢のように駆ける。
学園を舞台にした相次ぐ群像劇、その舞台は今や最高潮の盛り上がりを見せていた。片や、亡国企業の若き首領スコール・ミューゼット。片や、未知のISを扱う衛宮切嗣。それは戦闘と呼ぶには余りに滑稽で、ありきたりで、それでいて苛烈だった。
仮定1) スコール・ミューゼットが扱うISは二タイプある。一つは、強制的にISを解除する能力(チート技)を使う形態。もう一つは、今切嗣との戦闘で見せている、戦闘に特化したフォーム。
――後者の力も厄介だが、前者の能力は危険だ。アレは気を抜いた瞬間にこちらを殺す。
スコールのISに装着されていた厳つい装置は、現在どこへともなく消えており、代わりに明らかに戦闘にウェイトを置いた形になっていた。空気抵抗を減らすためか、全体的に尖っており、余分なパーツは無い。
放った三条のビームは敵に当たることなく、虚しく空を切る。虚空を高速で飛来するその様は、科学の極みを証明する。
仮定2) だが代償として、現在のフォルムには致命的な威力を誇る武装は無い。
シチュエーションに応じて変えることの出来る武装。加えて、前者の圧倒的な兵器。合理的に考えるなら、後者の形態には特に目立った機能は加えず、ただ堅実な戦いが出来る様アレンジする筈だ。
――最も、相手が合理性のみを追求しているならの仮定だが。
ミサイルと見まがうが如きの高速で移動するスコールのISから吐き出されたのは、広範囲を焼くことを前提とした中規模ミサイル。炎の中を駆けていた切嗣はそれを見咎めると、多目的弾が一つ「加速弾」を発砲する。周囲を炎が覆い尽くす中、足場を奪う攻撃に対しては、空中で処理を終えるほかなかった。逆説的に言うなら
仮定T) シルバームーンに飛行能力は無い。
少なくとも、スコールはそう捉えた。ISの花形である空中戦をすてでも地上戦に固執する切嗣。幾ら空中戦に不慣れだからとは言え、この状況で拒む理由となればそれ以外考えられない。
――最も、ブラフである可能性は捨てられないが。
爆破されたミサイルが生んだ炎の中を、マシンガンを片手に突き進む。が、本能的に機体を旋回させ、その場を脱する。直後、そこを物凄い衝撃波を纏った弾丸が通過した。試合中、ラウラを吹き飛ばした例の弾丸だろう。指数関数的に速度を上昇させるかの弾丸を、距離を保った状態で受ければ一撃で墜ちる。かと言って接近戦に持ち込めば、
「っ!」
切嗣が腰のポシェットから弾丸を取り出す。脳裏に蘇るのは、彼の弾丸を受け崩れる様に崩壊したサイレント
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