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ドン=ジョヴァンニ
第二幕その十
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か」
「どういうこととは?」
「危うく殺されるところだったんですよ」
 口を尖らせながらの言葉であった。
「本当にね。危なかったですよ」
「しかし生きているな」
「運がよかったですよ」
 このことは強く実感しているレポレロだった。
「全く以って」
「うむ。それではその幸運に応えて御前に褒美をやろう」
「褒美っていいますと?」
「面白い話だ」 
 それが褒美だというのである。
「それを話してやるがどうだ?」
「それってあれですよね」
 レポレロにはそれが何なのかすぐにわかった。
「女の話ですよね」
「それでだ」
 レポレロの問い詰めをよそに話をはじめてみせるジョヴァンニであった。その話とは。

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