暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 弾かれ者たちの円舞曲
第伍話 《真っ黒》〜前編〜
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ムよりレアものだゼ?」
「知るか。んなもん要らん。つーか女性が軽々しくキスしてやるとか言うな」
シキはアルゴに対しては笑わない。
理由は自分でも解らないが、シキは過去に仲の良かった親戚の女の子と重ねているのだろうと結論付けた。
――アイツには、笑いかけたことは無かったっけ。
「(……確かによく見ればアイツに似てないこともないか)」
「……? そんなジロジロ見て、もしかしてオレっちに惚れたカ?」
それこそねぇよ、とシキは少しだけ笑った。

      ○●◎

その足で仲間を呼び主街区から出て、アルゴに教えられた教会へと向かった。
「ゲーッ!」
その道中で、彼らは今まで見たことのない異形に襲われていた。
「…………カエル?」
「……おそらく」
チルノの呟きに迷いながらもアティが答える。
彼らが目の前にしている異形は、極端に巨大な頭だけがヘビで、首から下は巨大なカエルの果てしなく奇妙なだった。
Mobの名前は、《ザ・スネークフロッグ》。
定冠詞のついた名前から分かる通り、第六層のフィールドボスである。
「……まだ倒されてなかったのか」
「みたいだな」
シンが頷くと同時、ヘビガエルが飛びかかってきた。
一同がそれぞれ後ろへ下がり、真ん中にヘビガエルはズムン、と大きい身体を半分ほど沼に沈ませた。
「シェアァ!」
ヘビ特有の細長い舌をチロチロと見せつけるように出して、長い舌を伸ばしてくる。
その対象は、アティだった。
「ひあっ……!?」
アティの振るった片手剣は舌をかすりもせず、舌はアティの身体にしっかりと絡みついた。
舌はヌメっとしていて、アティが嫌悪感を抱いたと同時に宙に持ち上げられた。
「きゃあ……!」
悲鳴と共に持ち上げられたアティは全身にその長い舌が絡まっており、更に締め付けられていることでHPバーは減っていく。そしてヘビガエルはアティを盾にするかのように自身の前に移動させた。
これが今までこのフロアボスが倒されなかった理由であり、数多のパーティーが苦戦し、討伐できなかった理由である。
だが、彼らは普通のパーティーではないし、普通のプレイヤーでもない。
「アティを……離しやがれっ!」
シンがヘビガエルの腹下に潜り込み思いっきり蹴り上げる。
それに追従するかたちでシキが浮いたヘビガエルへと跳び、その舌を、より厳密にはその舌に走る線を切った。
「いたっ」
舌はバターでも切るかのように簡単に切れ、シキの背後でアティが背中から着地――というか墜落――した。
チルノは瞬時に反応できず、アティの救出劇はほぼ瞬間的に終わっていたため、ふてくされた声で、
「私にも見せ場残しといてよ……」
呟いた。
が、当然臨戦態勢の二人にも、つい先程まで拘束されていたアティにも聞こえることはなかった。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ