第伍話 《真っ黒》〜前編〜
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ら女性プレイヤーにもかなり嫌われている。
事実、あの攻略の鬼とすら呼ばれるアスナも、
『経験値的にはいいんだけど、ちょっと出来れば戦いたくないわね……』
とのことだった。
「……まぁ、強いのは認めるけどな。別にそこまで嫌がらなくてもいいだろ」
どうでもよさそうに言ったのはシキだ。
彼としては《フロッグソードマン》は別段苦手ではない。むしろ彼にとって苦手、というか嫌いなのは影也ぐらいなものだ。
「女性には苦手なものが多いんだよ。それぐらい察してやれ」
呆れた表情でシンが言う。
「……そんなもんかね」
十歳の頃に親と死別してから、保護者というか後見人のある人以外とは他者との関わりを必要としていなかった経緯があるため、彼は他者の心中が痛いほど理解できない。
今でこそ社交的と言える性格をしているが、一年ほど前までは他者を遠ざけようとしていた彼が、シンとの出会いでここまで変わるとは夢にも思うことはなかっただろう。
「あー……。とにかく、早く食っちまおうぜ。この街には朝飯と情報収集の為に来たんだからさ――――」
○●◎
初めに解説しておくと、この第六層の《圏外》の七割は沼地で、残り三割は沼地と森を足して割ったような中途半端な地帯で出来ている。
出現するMobのほとんどは先述したカエル戦士やイモリを巨大化させた、いわゆる両生類に分類され、大部分は衝撃を吸収しやすい柔らかい皮膚を持っている。
話を戻すと、シキの言うクエストは、第六層の沼地地帯にある教会で受けることのできるクエスト《殉教者のさがしもの》というクエストである。
元々シキ達が進んで受けたわけではなく、凄腕の情報屋《鼠のアルゴ》から依頼されたのだ。
「……自分で受ければいいじゃねぇか」
「いやナ、コッチにも都合ってモンがあるのサ」
アルゴはいつもの口調のままだったが、若干申し訳なさそうな色が含まれている。
「しかも、捜し物系のクエストだからナ。オレっち一人でやるのは、ちっとナ」
「それなら聖竜連合か血盟騎士団に頼めばいいだろ。もしくは《軍》とか、さ」
人手が多く、かつ有名どころを挙げたのだが、アルゴは首を横に振った。
「どっちにしろ、1パーティーでしか受けれないし、何より未知のクエだからナ」
「未知には未知を……ってか?」
有り体に言えばそうなるナ、とアルゴは苦笑で頷いた。
「まぁ頼ってくれるのは嬉しいけどな。こんなスキル持っちまったおかげで今や元テスターより嫌われ者だし、そのおかげで依頼とか来ねぇし、日々レベルアップだけしかすることねえ。……愚痴はともかく、いくら日々暇だっつっても報酬は貰えるんだろうな?」
「オレっちのキスとかどう?」
妖しく微笑うアルゴに、要らんと即答するシキだった。
「LAのアイテ
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