第十六話 紅の弓兵、蒼の槍兵
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なんてよ」
朱槍担いだ男は、アーチャーを見つめ好戦的な笑みを浮かべる。
視線を受けるアーチャーは
「投影開始(トレース・オン)」
静かにそう呟くと、両手に見慣れた黒と白の双剣を生み出す。
「へぇ」
男は不気味に口元を歪める。
「……いいねぇ、そうこなくっちゃ。話が早いヤツは嫌いじゃあない」
旋風が舞う。
男は担いでいた真紅の槍を手中で数回回すと、腰を落として構えた。
「ランサーの……サーヴァント」
私は思わずそう呟いた。
以前、アーチャーが私に説明してくれた事が頭の中によぎる。
槍使いの英霊で、全てのサーヴァントの中で最速の存在。
「へぇ……。ある程度の知識はあるみてぇだな」
嬉しそうに私を見つめるランサー。
「如何にも。そう言うアンタのサーヴァントはセイバー……」
男はそう言うが、急に二ヤついていた顔を歪め、眼光鋭くアーチャーを睨みつける。
「……って感じじゃねぇな。何者だ、テメェ」
先程までの軽薄さなど微塵もない。
殺気の固まりとなったランサーに対して、アーチャーはあくまで無言。
「ダンマリか……。ふん、テメェがどこの英霊かは知らねぇがいずれは倒さねぇといけない相手だ」
私達と彼等の距離は5mも無い。
最速と呼ばれるランサーからすれば、この距離なんて意味はない。
そう思えた。
「セイバーでもなければキャスターとも違う。アサシンでもなければ、ライダーって感じでもない。ましてやバーサーカーなんて論外」
ランサーは一人で呟きながら、思考する。
「……俺にはテメェが真っ当な一騎打ちをするタイプには見えねぇ。って事はアーチャーか」
ランサーが答えへと導き、嘲様な口調で話すがアーチャーは何も言わない。
二人は互いに睨み合ったままその場を動かずにいた。
「どうするお嬢ちゃん。此処で仕掛けてみるか?」
ランサーは背後にいる少女へと声を投げ掛ける。
少女は先程からジッとこちらを見続けていた。
右手には槍を持ち、その右手を支えるように左手で手首を握っている。
そして、その左手の甲にはマスターの証である赤い紋様が光り輝いていた。
「予定とは違うけど、逆に好都合かもしれない」
少女は静かにそう呟くと、ランサーの背中へと視線を移す。
そして再びアーチャーへと視線を戻し、口を開いた。
「ランサー、全力で戦って」
少女の声が私たちの耳に届いた。
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