第十六話 紅の弓兵、蒼の槍兵
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表情で見つめている。
一挙手一頭足決して見逃すまいという眼つきだ。
「それでは美しきお嬢さん、また会いましょう」
男は平伏するとそのまま後ろへと下り、そして光の粒子と共に夜の闇に消えた。
男が消えると同時に辺りに立ち込めていた霧が晴れ始める。
私達の周りを囲っていた不気味な雰囲気は、霧が晴れると同時に消え、いつもの夜のフィールドへと元に戻った。
「…かはっ……!」
思わず息を吐く。
先程までの緊張の糸が急に切れて、そのまま私はその場に膝を付いてしまった。
「大事ないかね」
目の前を見るとそこには大きな影が出来ている。
アーチャーが私の前に背を向けながら立っていた。
目線だけを私に向けられている。
「…え…あ―――――あの」
私は正直戸惑っていた。
アーチャーは私が夜のフィールドで狩りをする事に苦言を示していた。
今思えばこのような事を見越して私に言っていたのかもしれない。
私はあの時、アーチャーにきつく当たってしまった事に罪悪感を感じていた。
「あ…あの、アーチャー……」
私はアーチャーに一言謝ろうと口を開く。
だけど、
「来るぞ」
アーチャーが私の言葉を遮った。
私はその一言が何を意味したか、一瞬分からなかった。
だけど次の瞬間
一陣の風が吹いた。
風は私達の正面から。
私は思わず目をつむり、風を受ける。
そして、目を開けるとそこには一組の男女が立っていた。
「おいおい、なんだぁ―――。終わっちまったのかよ…ちょいと出遅れちまったな」
男の方が口を開く。
不満げな表情を見せ、辺りを見回している。
男は、私よりも20cm以上高く、青のボディースーツを着ており、その上からでも鍛え上げられた肉体が見て取れる。
眼光は鋭く、今にも人を射殺さんといわんばかりに光り輝いている。
そして何より、彼の持っている槍が異質で存在感を放っていた。
その槍は、何人もの人を殺してきたと言わんばかりに、深紅に染め上げられ、殺気が溢れ出している。
体が動かない。
さっきの狂人のような男とは、全く違う圧迫感。
声も出せなければ、呼吸も困難になってきた。
生身の体であれば、おそらく体中から冷や汗が吹き出してるだろう。
私が動けないでいると、次は少女が口を開いた。
「逃がしちゃったのは仕方ないわ。また次の機会にしよう。それより…」
少女はそう言うと、下に落としていた目線を上げ、私達を見つめた。
ひどく冷ややかな視線。
冷静に私達見ているが、その眼は敵意をありありとぶつけてくる。
「キャスターの野郎を狩ってやろうと思ったらとんだ嬉しい誤算だな。まさかキャスター以外の奴が此処に居る
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