第十六話 紅の弓兵、蒼の槍兵
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アスナが狂人と対峙している頃。
数百メートル離れた所にある一組の主従が居た。
「おいおい、やけに派手にやってる奴が居るな」
「あの霧の事?」
「おう、あれは認識を阻害のための結界だ」
辺りよりも頭一つ小高い丘の上。
そこにいるのは二人の槍使い。
「という事は、サーヴァント…?」
「しかもこんな事の出来る奴はキャスターしか考えられねぇ」
二人は、聖杯戦争の参加者でもあり、聖杯を求めていた。
「キャスターって事は、確か一番弱いクラスだよね?」
「そうだな…。で、どうする嬢ちゃん。いっちょケンカでも売ってみるかい?」
男の方が女の方へと問いを投げる。
男はいかにも早く戦いと言わんばかりに眼をギラつかせている。
「……どうせ、最後には全員倒す事になる…。だったらなるべく早い方が良い」
「じゃあ、仕掛けるかい?」
再度、男は女に問いを投げる。
女の眼には迷いがなかった。
「うん、行こうランサー」
サチはランサーにそう答える。
ランサーは答えを聞くと、口元を綻ばせサチを抱えて戦場へと駆けだした。
槍の主従の聖杯戦争の第一戦が始まる。
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『伏せろ』
突然そんな声が私の耳に届いた。
妙に聞き覚えのある声。
私はその声に従うように、慌ててその場に伏せ頭を抱えた。
その途端、空からいくつもの飛来物が降ってきた。
そしてそれは私の周りを囲っていた怪物達を駆逐する。
飛来物の正体。
それは剣だった。
形も長さも全て同じの細身の剣。
それが怪物達に突き刺さり、肉を断ち、息の根を止めていた。
数刻もしないうちに、剣の雨は止んだ。
辺りにはもう生きている怪物はいない。
全てガラスのように砕けて空気に溶けてしまった。
「すまんな、少々足止めをされて此処に来るのに時間がかかった」
背後から先程の者と同じ声が聞こえる。
「さて、勝手に私のマスターに手を出そうとしたんだ。覚悟は出来ているだろうな」
私のサーヴァント、アーチャーは目の前の男を睨みつけ、私を背に庇うようにして立っていた。
睨みつけられている本人はというと、キョトンと私達を見つめていたが、徐々に表情を崩し、愉快そうに笑みを浮かべた。
「なるほど、邪魔が入らないように辺りに海魔達を放っていたのですが……。まさかお嬢さんがマスターであったとは、これは少々予想外でした」
男はそう言うと、私とアーチャーを交互に見る。
「致し方ありません。今回は準備不足、残念ですが引かせて頂きます」
男の雰囲気が急に変わる。
さっきまでの狂人のような眼ではなく、私達を観察するような眼に変わった。
アーチャーは未だ男を厳しい
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