番外編
青騎士伝説 後編
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度でも吹き飛ばす。
その青い鉄仮面の奥の瞳は、決して炎を失わない。
その激しい熱意のまま、『青騎士』は何度でも無謀な、愚直な突進を繰り返した。
◆
何度目かの突進。
『青騎士』は、他の手段を持たないかのようにそれを繰り返してきた。
「バカの一つ覚えですね。何度やっても当たりませんよ、私には」
その愚かな行いを、彼はひらりと躱して挑発する。
(……事実、他の手段を持たないのかもしれませんね)
彼の集めた情報では、少なくともあの『冒険合奏団』が壊滅した日のファーのレベルはさほど高いものではなかった。あれから急速にレベルを上げたのだとすれば、まだ日は浅い。そのレベル帯の特技や戦い方には、まだまだ習熟できていなくても納得がいく。
しかし。
(問題は、その「たった一つの手段」が……!)
彼も、口にするほど有利なわけではなかった。
「たった一つ」を鍛えぬいたその戦い方は、レベルで勝る彼に対してすらも十分な脅威となりうる威力を秘めていた。罠で移動速度を殺いでいなければ、回避も危うかったかもしれない。ことに軽装備である自分は、まともに喰らうのは不味い。
できれば、十分に安全を確保できる距離を置きたい。
なのに。
「―――ッ!!!」
「まだやるのですか!」
『青騎士』は、決して距離を置こうとしない。相当量のダメージを受けている以上、一旦距離をとってポーションでの回復を考えてもおかしくないのだが、まるで取りつかれたかのように突進のみを繰り返してくる。
(くっ、……雨も、ここまで強くなるとは……!)
さらに、激しさを増す雨は彼の投げナイフの精度を妨げる。
本来は青騎士に周囲を観察させにくくするために狙った天気だったが、これほどまでに激しくては距離を置いての《鎧通し》を狙うのは難しい。そして、あの『青騎士』の名を成す鎧の防御力は、《鎧通し》なしでは投げナイフ程度では貫けない。
「ッッ!」
思考に耽っていた彼の脇を、長槍が鋭く貫く。
(あ、危なかった! く、くそ……!)
あれこれと考えていては、避けられるものも避けられなくなる。
仕方ない。
(アレを、使いますか)
まだまだ彼には、『青騎士』のためのいくつもの罠と奥の手がある。
幸い、『青騎士』はもうまともな思考をもってはいないようだ。
ならば罠でも心理戦でも、いくらでもやりようはある。
それこそが彼のやり方であり、『墓荒しの蝙蝠』の真骨頂でもあるのだから。
◆
「―――ッ!」
『青騎士』の突進が、唐突に止まった。
舞うように突きを躱すその影を捕えようと反転した瞬間、足が
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