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ドン=ジョヴァンニ
第一幕その三
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第一幕その三

「許せない、この僕の手で裁いてやる」
「けれどもう御父様は」
 アンナはそのオッターヴィオの前で悲嘆にくれた。
「二度と戻らないのですね」
「気を確かに」
 オッターヴィオは嘆くアンナを慰めてきた。
「僕でよかったら頼って下さい」
「有り難う」
 アンナはそのオッターヴィオの言葉を受けてそっと彼に寄り添った。
「貴方にそう言ってもらえると」
「はい、そして誓いましょう」 
 ここでオッターヴィオの声が強いものになった。
「貴女の御父上を殺したその男を必ず」
「仇を取って下さるのですね」
「当然です」
 強い言葉だった。
「それが貴女の夫になる者の責務です」
「有り難うございます」
「貴女の目に誓いましょう」
 アンナのその清らかな目を見ての言葉だった。
「そして僕達の愛に」
「御父様は殺されたけれど」
 アンナはオッターヴィオのその言葉を受けて言う。
「けれど私には今は」
「僕がいます」
「そうですね。それでは」
「まだ遠くに行っていない筈です」
 オッターヴィオは早速追おうと考えていた。そうしてその考えをアンナにも言うのだった。
「さあ、行きましょう」
「ええ、すぐに」
 アンナはオッターヴィオと共に庭から何処かへと向かった。彼女はオッターヴィオに手を引かれることなく自ら進んでいた。それどころか彼よりも半歩ばかり先にも行っていた。
 夜の通り。ここにジョヴァンニとレポレロがいた。ジョヴァンニは周りをきょろきょろと見回しているレポレロに対して問うた。
「どうしたのだ?」
「いえね」
「追手が来たのか?」
「いえ、違います」
 それではないというのだ。
「どうも不安になりまして」
「不安だと?」
「そうです。思うんですが」
 彼は困惑し困り果てたような顔で主に言うのだった。
「旦那様のやり方は酷過ぎるんじゃないですか?」
「そうか?」
「そうかじゃないですよ。あの人を殺したことも」
「剣を向けられれば当然のことだ」
 ジョヴァンニはそれを言われても平気であった。
「違うか?」
「違いますよ。そもそも夜這いも」
「私にとっては至極当然のことだ」
「そうやって女性を辱めてもですか?」
「女を辱めたことなぞないぞ」
 彼はそれはいささか感情的になって否定した。
「私はあくまで口説きそのうえで陥落させるのがやり方だ」
「じゃあ夜這いをしても」
「手は出さぬ。言葉だ」
 それだというのである。
「もっとも私の言葉で陥落しなかった女はあまりいないが」
「あの人はそのあまりいない人のうちだったんですね」
「そうだ」
 それだというのである。
「全くもって詰まらん女だ」
「左様ですか」
「あのドンナ=エルヴィーラと同じだ」
 不
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