深き夢見る水の底
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ましかった。
ずっといた彼のとなり、そこに自分はもういられない。しょうがないことだけれど、彼女は思ってしまうのだ。彼女たちでもよかったじゃないかと。何故、ここにいるのが自分なのだと。
暗い嫉妬と恨みが彼女の心には芽生えていた。その思いが口から溢れるより早く、彼女の瞳は仲間が流した涙を捉えていた。彼女たちは確かに自分を心配し、悲しんでくれている。そこに沈む彼女を想う追悼の思い、それ以外の色はなかった。
彼女たちは自分がこんな思いを抱いたことなど知らぬだろう。脳裏によぎることすらないはずだ。それなのに彼女は仲間を妬んでしまった、恨んでしまった。
唇がわななく。仲間たちの想いを踏みにじったことに気づき、彼女は己が取り返しのつかぬ事をしてしまったのだと気づいた。何故、自分はそんな事を。
砂煙を巻き上げ彼女の体が海底に刺さり、横たわる。もう、彼女の鼓動は止まっていた。
絶望の底で呆然と涙を流しながら、光届かぬ深い海の底、彼女は物言わぬ存在として横たわっていた。
そして今日もまた、その海上では仲間達が戦う。彼女が愛した提督の指揮の元で……
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