崑崙の章
第1話 「えろげ?」
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……胸おっきいな、この人。
もしかして、桃香より大きいかもしれない。
「あ、気にしないでいいですよ、どうせただになりましたし……えっと、君の名前は?」
「璃々ー!」
「それ真名じゃないのかな……?」
ちらっとお母さんのほうを見る。
お母さんが苦笑しながら頷いている。
しかし笑っているってことは、呼んでいいのかな?
「えっと、真名呼んでいいの?」
「うん!」
「そっか……じゃあ、璃々ちゃん。お兄ちゃんの少し分けてあげよう」
「わーい!」
璃々ちゃんが大喜びである。
朱里や雛里といい……俺、幼女に好かれるのかな?
「親父……さんは忙しそうだな。じゃあ、お椀持っておいで。こっちの綺麗なほうを分けてあげるから」
「うん!」
ててて……とお母さんの傍に駆け寄り、小さなお椀を受け取ってまたこちらにくる。
「はい!」
「はいよ……じゃあご飯乗っけて麻婆かけてっと」
手をつけていないご飯の部分を別皿から取り出して、皿に残っていた麻婆をかける。
ちっちゃい麻婆丼、完成!
「はい、どうぞ……辛いからね、気をつけて食べるんだよ」
「うん! お兄ちゃん、ありがとう!」
にぱっと笑顔でお礼を言う璃々ちゃん。
小さいのに利発な子だな。
ちらっと顔をあげれば、お母さんが頭を下げている。
手をひらひらと振って気にするな、と合図する。
「おかーさん! お兄ちゃんにもらったー!」
あーあーあー……そんなに走ると溢すぞ。
そう思ったら。
「あっ!」
がしゃん!
「…………」
「…………」
「「「…………」」」
俺も、お母さんも、そして微笑ましい様子を見て和んでいた店内の客も。
その全ての人が無言になる。
転んだ璃々ちゃんは、割れた茶碗を見て……
「ふ、ふぇ……」
あ。
「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
あーあーあーあー……
璃々ちゃんが盛大に泣き出してしまった。
俺が椅子から立ち上がるのと、お母さんが立ち上がるのがほぼ同時だった。
「大丈夫か、璃々ちゃん……怪我はない?」
俺が、璃々ちゃんの傍に屈んで慰めようとすると……
「璃々」
おや?
お母さんが厳しい顔で立っている。
あ、あれ?
「泣くより前に、することがあるでしょう」
お母さん……なんかわかりませんが、厳しすぎやしませんか?
お子さん泣いているでしょうに……
「うぐっ、ぐしゅっ、ふぇ……」
璃々ちゃんは、お母さんに言われると……頑張って泣くのを我慢して、涙を拭いて。
「お兄ちゃん……ひっく……ごべんなさい……」
「へ?」
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