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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
崑崙の章
第1話 「えろげ?」
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わず周囲の文官が、ビクッと身体を強張らせた。

 城内にある王座の間で、太守は冷や汗を流している。
 警備を担当している兵も、目の前で怒気を発している人物のあまりの剣幕に気圧(けお)されていた。

「わしは劉表殿の要請であるからこそ、巴郡(はぐん)からわざわざここまで来たのですぞ! それをもう用はないから帰れ? どういうことか、ご説明いただきたい!」

 怒気を(あら)わにして太守を睨みつける人物。
 その人物は、自身の大きな胸をたゆん、と揺らせながら太守を見下した。

「い、いや……わ、私は太守といってもただの文官でして……い、一時的にここを任されているにすぎず、で、ですので、その……」

 しどろもどろの太守に、その人物――女性は鋭い眼光をさらに険しくさせる。

「ヒッ! い、いえ、で、ですから! す、すでに江賊に成り下がっていた甘寧は呉に下りまして……その残党が暴れていたので劉表様が、ご自身の不在の間に頼るならば、き、貴殿をと」
「それは知っておるわっ! わしが言っておるのは、その要請に応えて来てみれば『もう用はないから帰れ』ということじゃ!」

 その女性は、今にも太守の胸倉を掴み上げて、締めあげそうな雰囲気を出していた。
 さすがに警備兵も、剣呑な雰囲気になる。

「で、ですから……江賊の残党との話し合いがつきまして。こちらが上納金を出せば、おとなしくすると……」
「賊に金を渡して見逃してもらうと!? 貴様ら、それでも漢の官吏かっ!」
「ヒイッ! お、おやめください、厳顔将軍!」

 厳顔――そう呼ばれた女性は、怒髪天を突く勢いで太守に吼えた。
 既に文官の一人が、その怒気に当たって気絶している。

「江賊如き、わしが一息に滅ぼしてくれるわ! そやつらの根城に案内(あない)せい!」
「む、無茶です! こちらには江賊に対抗できるだけの船がないのです! 貢がねばどうやって民を守れというのですか!?」

 今にも卒倒しそうな太守に代わり、文官の一人が止めに入る。
 厳顔はその文官を睨みつつ、言われた内容に顔をしかめた。

「むう……それこそ敵の根城を叩けばよいではないか。やつらの根城とて長江の上にあるわけではあるまい」
「根城があったとしても、長江に逃れてしまえば、追う手段がありません! それではいつまた報復に戻ってくるかわかりません!」
「ぬ、ぬう……だが、元を断たねばいつまでも搾取されるだけではないか」
「そこまでおっしゃるのでしたら、厳顔将軍。巴郡の水軍、その全軍を出してずっとこの白帝城を守っていただけるのですか?」
「そ、それは……」

 文官の正論に二の句が告げなくなる厳顔。
 厳顔の収める巴郡とて、長江のすぐ傍に位置する場所だ。
 それなりに水軍があるが、それ
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