崑崙の章
第1話 「えろげ?」
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元気に笑って答える鈴々ちゃん。
その様子に頷きながら、その頭を撫でる盾二様。
……いいなぁ。
「愛紗も鈴々も、漢中を含めた梁州は新しい州だ。混乱も多いはずだし、近隣の邑や街もすぐには安定しないだろう。その隙に賊の横行も多いはずだ。兵の調練はしっかり行ってくれ」
「「応っ(なのだ)」」
二人は腕を組んで頭を下げます。
……直臣ではないとはいえ、主人と仰いでくれているのは私としても嬉しい限りです。
「馬正、朱里と雛里が状況をまとめたら、すぐに治安活動に動いてくれ。例の警護施設の建設とその指揮はお前に任せる」
「はっ! 必ずや早期に立ち上げましょう」
馬正さんが臣下の礼をとり、跪きます。
その姿は、さすがは元漢の要職にあっただけに、しっかり儀礼に則ったものでした。
「朱里、雛里。二人は大変だが、出来るだけ急いで情報と現実のすりあわせを行ってくれよ。わかっているとは思うが、それがどれだけ早いかで初期の治世は決まる」
「「はい、お任せください!!」」
私と雛里ちゃんもそれぞれ臣下の礼をとりました。
盾二様……必ず貴方の期待に応えて見せます!
「うん……」
盾二様は、頷いてみんなを見回します。
…………ぐすっ。
はっ、だめだめ!
絶対に涙なんか流さないって決めたんですから!
「じゃあ、みんな。そろそろ……」
「ちょっとまちぃーーーーーーーーーーーーーっ!!」
「は?」
あ。
ものすごい勢いで馬を走らせてくる人がいます。
たぶん……というか、もう誰かわかっているんですが。
「じゅんじぃーーーーーーーーっ!」
「あ、し、霞?」
霞さんが、馬から飛び降りるのと、馬がヘタって倒れるのがほとんど同時でした。
そのまま走って盾二様の前にきて……
「ウチが帰る前に旅立つとは何事やーーーーーーーっ!」
「う、うわっ!?」
息も荒く盾二様の元まできて、胸倉を引き寄せました。
見れば全身汗だくになって、髪もぼさぼさ。衣服も乱れ……って。
「ちょ、ちょっと! し、霞! しあさん! 胸、胸!」
「関係あるかーっ! ウチが戻るまで待っとれってゆうたやろがーーー!」
「だからむねぇっ!」
あの、その。
たゆん、とゆれる胸が、さらしから……
むう。
なんかムカつきます。
「し、霞さん! おっぱい、おっぱい出ちゃってる!」
桃香様が慌てて周りの人から隠そうとしています。
愛紗さんは、溜息を吐いて頭を抱え。
鈴々ちゃんは、ケタケタと笑い。
馬正さんは後ろを向いて見ないようにして。
雛里ちゃんが顔を真っ赤にして手で目を覆って……あ、隙間から
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