崑崙の章
第1話 「えろげ?」
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―― 盾二 side 宛 ――
「よっと……ふう。こんなもんかな?」
麻袋の口を、紐で縛り終える。
中には日持ちする携帯食料、地図、着替え、路銀に自作した登山道具。
身に纏うは、AM(アーマードマッスル)スーツ。
そして背後の腰には、オリハルコンナイフ。
旅立つ準備が、これで完了した。
さて……と。
俺は、麻袋を担ぎ上げて部屋を出る。
そこにはいつものように――
「行かれますか?」
馬正が立っていた。
「ああ。今日まで警備、ありがとうござ――いや、ありがとう。助かったよ」
「なんの。またお帰りになったら私が警備させていただきますとも」
「……本職を忘れるなよ?」
一応、将扱いにしてるんだからさ。
「もちろんです。留守中、漢中の守りはお任せください」
「ああ。頼りにしている……辞令がくるのは今日か明日だったな」
「はい。とはいえ下賜するのは張遼殿ですからな。帰ってきたら『ほい。まかせたで』で終わりでしょう」
「ははは。違いない」
俺は廊下を歩きながら笑う。
結果として、黄巾の乱は終結に向かっている。
俺たちが白蓮の領地から出立して約半年。
いや、半年以上だろう。
結局のところ、洛陽からの正規軍と諸侯連合軍により、張角を初めとする黄巾三姉妹は討ち取られたとのことだ。
正規軍に同道した曹操の部下、夏候惇が首級をあげたと報告されている。
頭目が死ねば、あとは掃討戦だ。
残党はまだ蠢動しているが……すでに論功行賞は始まってる。
うちもそのことで、先日から霞が洛陽に呼び出されていた。
すでに褒賞の内容は内々に決まっていたが……
「まあ、引継ぎと移動の準備は進んでいるんだ。ゆっくりやってくれ」
「はあ……しかし、本当によろしいのですか? 張遼殿を待たずに旅立たれるなど……あとで恨まれますぞ?」
「そうか? ちゃんと霞が洛陽に向かう前に挨拶しといたし……大丈夫だろ」
「いえ、そうでなく……」
?
いったいなんのことだ?
「……はあ。やはり主は鈍感ですな」
「なっ!? いや、そう言われても意味わかんねぇし!」
「不憫ですな」
「……えっと、なにかまずいんですかね、馬正さん?」
「……私が言うことではありませんので」
えー、なんでだよ!
亀の甲より年の功っていうじゃないか。
とはいえ……本当に何で気にするのかわかんないんだけど。
「ええい! 今日出るってのは皆に言ったんだ! いまさら撤回できるか!」
「……張遼殿が泣きながら追いかけなければいいのですが」
「だから、なんでそうなるんだよ。理由を言ってくれ!」
俺が、があっと唸るが、馬
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