第九十話
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ら俺に言ってくる。
「まぁ雪風のは後で聞くからして……先程、魏の使者がやってきたのじゃ」
……成る程。
「向こうもいよいよ決戦をするようじゃのぅ」
「ハッハッハ。それは逆に腕が成るのぅ」
祭と零が笑いながら言う。全く年増は……。
「「何か言ったか長門?」」
「……いや何も……」
ついでに地獄耳だな。
「魏の兵力は分かっているのか?」
「詳しくは分かりませんが、間者からの報告では五十万を越えるとの事です」
俺の問いに七乃が答えた。ほぼ、赤壁の戦いかもな。
「此方の兵力はよくて二十万です。間者も魏に忍び込ませる予定です」
「それとじゃが、妾の判断で合肥にいた郭淮達は引き上げさせた」
「引き上げさせたのか?」
美羽の言葉に翠がそう聞いてきた。
「こら翠。口の聞き方が悪いよ」
「ご、ごめん母上……」
そして翡翠に怒られる翠である。
「翠、合肥は今の仲からは浮き出ている領土なのじゃ。もし、魏軍が合肥の後方へ回れば合肥は仲から完全に孤立するのじゃ」
美羽は地図を用いて翠を筆頭に分からない奴等に教える。
「じゃから合肥は魏軍に譲って妾達は長江を防衛線とした布陣をするのじゃ」
美羽はそう言ったのである。
それにしても美羽は立派に君主としているな。
「それでは全員、戦の準備じゃッ!!」
『オオォォォッ!!』
俺達は叫ぶ。
「「………」」
しかしこの時、クロエとロッタの表情が暗かったのは誰も気付かなかった。
「ふぅ、こんなもんか……」
俺は荷造りの準備をしていた。今回は恐らく曹操と決戦になるだろうからな。
俺も、もしかすれば戦死するかもしれないしな。
「……あかんな。ネガティブに考えたらあかん。ポジティブに考えとこう」
コンコン。
「ん? どうぞ」
「「………」」
「クロエとロッタじゃないか。どうかしたのか?」
俺は二人に声をかけるが二人は無言だった。
「……長門、この戦いは決戦だろう?」
「あぁ。確かにほぼ魏軍との決戦だな」
「……私達はどうしたらいいのよ? 一応は客将として戦ってきたけど、戦いで敗れたら……」
「………」
ロッタの肩が震えていた。そうか、二人はルミナシアに帰れるかどうかも分からないからな。
「気にするな」
俺は二人の頭にポンと手を置いた。
「必ず仲が勝つ。そのために二人も頑張って貰わないとな」
「……そうか」
「そうね……あ、ありがとう長門」
「おぅ。それにもし帰れなかったら俺と結婚でもするか?」
「「〜〜〜ッ!?」」
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