幕間
Trick-01_し、しのっぷ?
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から出てきたのは気の優しそうな男、いや青年と言えるような若い人だ。
「実はね、この子を預かって欲しいのだが」
「・・・・・先輩が連れて来たってことは“アレ”関係の子供ですよね」
「その通りだ。処分される予定だったが、この子のおかげで私の理論がある程度
証明されたのだ。お礼の代わりにこのまま普通の人生を歩ませたいと思ってね」
「そういうことなら協力しますよ。よろしくね、きみ」
青年は僕を見て笑顔で話しかけた。
「この子は実験の影響でまともな生活ができないだろう。
しかし、頭はいいのですぐに慣れると思うから心配はいらない。
名前の方は・・・検体番号が『4-・・』なんだったかな思いだせない。
あ、ちょうどいいじゃないか。『4−』ってことは名前は『シノ』でいいな」
「先輩、良い名前だと思いますけど理由が滅茶苦茶ですね・・」
「まあ、そう言うな。とにかく、この子は任せたぞ」
「はい。じゃあ、改めてよろしくね、『しの』」
偶然にも、前世の名前は今の俺と同じだった。
それから数年、普通の教育を受けて体の方も日常生活に問題がないほどに
動かせるようになった。
ただ、動かせると言っても走れば人より遅いし、鍛えることも体が耐えられない。
世間的には運動音痴と同じ状態だ。
しかし『SkyLink』にアクセスした影響でA・Tに乗りたいという欲望があった。
もちろん無理なことであり、欲望を誤魔化すために僕はA・Tチームが自分たちの
象徴、誇りとして使う族章のデザインを始めた。
族章はチームの顔と同じもの、野球の球団旗のようにチームそのものを表す。いつか有名チームに僕の族章を使ってもらいたいな。
11歳からは小学校にも行くようになり、初めての学年が6年生と変な生活を送り始めた。
だが僕は変に頭が良くて、逆に運動ができなかったためにいじめの対象になった。
小学生にして髪を縦に伸ばした少年が中心のグループにいじめられた。
そんな僕を慰めたのが、自分の作った族章だ。
いじめられて自分の世界に籠もる、典型的な逃げ方だった。
そしてある日、学校という現実と、族章作りという自分の世界の分け方を間違えてしまった。
学校にデザイン用のノートパソコンを持って来てしまった。
もちろんいじめのグループはそれを見逃さず、僕のパソコンを取り上げられて中身を見みられた。
僕は恥ずかしくて仕方がなかったが、彼らの反応は違った。
「ナニコレ? A・Tチームのステッカー?」
「・・・うん、正確には族章・・」
ステッカーは族章と同じデザインで書かれたシールのようなも
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