第八十六話
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」
シロウだ。
シロウは有ろう事か小柄なセイバーの体に覆いかぶさるようにして地面に伏し、その身を挺して守ろうとしたのだろうが、セイバーでは耐えられても人間である彼が耐えられる訳が無い。
身を挺してサーヴァントを庇った所で自分が死んだらサーヴァントを助ける事なんて出来ないのに。
あの男はそれすらも分からないのか。
「っ!?」
乱入者の出現でチャンピオンはおそらく爆発させるはずだったそれを寸での所で取りやめたが、その巨石は止らず。そのまま二人を押しつぶさんと迫る。
「どいて下さいっ!シロウっ」
「なんでだよっ!」
聞かないシロウを無理やり引っぺがすセイバー。
「はぁっ!」
セイバーは四肢に力を込めてシロウを跳ね除けると迫る巨石を切り伏せた。
ドスンドスンと鈍い音を立ててアスファルトが落下する。
チャンピオンの能力から離れたそれは地面に落ちた瞬間に瓦礫の山と化した。
セイバーはシロウを背に庇うように立つと剣を下げ表情を曇らせる。
「すまない、チャンピオン。あなたの心遣いのお陰で我がマスターは生きている」
「うん。ちょっとビックリしちゃったけど、その人じゃあれは耐えられなかっただろうしね」
セイバーはシロウの襟首を引っつかむと後方に向かって放り投げた。
「え、あ?セイバァァァァァァアアア?」
ズザーーっと音を立ててアスファルトを転がっていくシロウはリンの手前でようやく止った。セイバーが絶妙な力加減で投げ飛ばしたのだろう。
「リン、すみませんがマスターを二度と入って来れないように拘束していてください」
「なっ!?どうしてだよっ!」
「バカね衛宮くん。あなたが死んだらセイバーは現界してられないのよ」
「だからって見ているだけは出来ないじゃないかっ…確かに方法は悪かったけど、それでも目の前で人が死ぬのは嫌だっ!」
「それこそバカよ。サーヴァントは既に死んだ存在。ここで殺されたからと言っても元の場所に戻るだけよ」
リンがシロウに怒っているような声で言って聞かせているが、当の本人は理解していない。
何だろう…なんかもやもやする。
なんか面白くない。
「チャンピオン、今日はもう帰りましょう。なんか飽きちゃった」
その言葉を聞くとチャンピオンはわたしの側まで下がってセイバー達に睨みを効かせている。
「それじゃあね、お兄ちゃん。リン、次は殺すから」
短く言い捨てるとわたしは踵を返す。
「まてっ!」
「まだやるなら次はあなたのマスターの生死を考慮しない」
引き止めるセイバーにチャンピオンがそう答えるとようやく解散ムード。セイバーも追ってくる事はないだろう。
三人が見えなくなるま
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