第八十六話
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きさの何かはセイバーを通り過ぎた後ろで固定されたように止った。
チャンピオンはセイバーをそのボールとはさむような位置に陣取ると、構えた大剣でアスファルトを抉る。
「はぁっ!」
ドオーンッ
爆発音と共に舞い散る幾つもの礫はまるで磁石にでも吸い寄せられるかのように一直線にセイバーに襲い掛かる。いや、正確にはセイバーの後ろにある球体目掛けて飛んでいっているのだ。
「なっ!?」
散弾銃もかくやと言った勢いのその礫にセイバー横に転がる事で回避する。別にセイバーの防御力ならあれくらいの礫など恐れるほどの物ではないが、結果としてセイバーの回避は正しかった。
チャンピオンによって巻き上げ続けられたアスファルトや土などの微粒子が集まり先ほど放たれた何かに吸着したそれはおよそ直径一メートルほどの大きさにまでなっていた。
セイバー自身を吸着できる物では無いらしいが、もし、この引き寄せられた粒子に捕まったら?
それはギチギチと唸りを上げている球体が物語っている。あれの呪縛は強力なようで、捕まれば圧殺されてしまっていただろう。
ドオーンッ
またも爆音。
舞い散ったアスファルトは再びセイバーへと襲い掛かる。
いつの間にかチャンピオンが吸着の核になるあの弾をセイバーの背後に投げていたようだ。
さらに避けるセイバーに死角から一閃。チャンピオンの大剣を辛くも転がりながら避けるセイバーには現状を打開できるだけのチャンスがなく、今は逃げるのが精一杯のようだった。
チャンピオンは粉塵も利用しながらセイバーの視界から巧く姿をくらましつつアスファルトを巻き上げ続けている。
一定量吸着したそのアスファルトの塊は、どうやらそれ以上吸着する事が出来ないのかその吸着力が落ちている。
最初に投げ出したそれなどは殆どただのアスファルトの塊だ。
セイバーはそれを背後にチャンピオンの気配を探る。が、しかし。チャンピオンのその能力はどうやら吸着だけではなかったらしい。
突如爆発したように弾き飛ばされたそれが背後からセイバーを襲う。
「がはっ…」
なるほど、吸着と反発で一セットなのね。
と一人で納得するわたし。
セイバーは予想外の攻撃に不意をつかれ、ダメージを負ってしまったようだ。
ふらついたその瞬間、チャンピオンはセイバー目掛けて作り上げた三つの塊を押し出した。
転がるようにそれらはセイバーの所へと迫り、その集められたアスファルトを開放する時を待っている。
流石に先ほどの威力の衝撃が後三度繰り返されればセイバーと言えど致命的な隙が出来るだろう。
勝った。とわたしは思ったが、ここで思わぬ乱入者が現れた。
「セイバーーーっ!」
「…っシロウ?
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