第八十六話
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ロードカートリッジ・サークルプロテクション』
ガシュっと薬きょうが排出され、魔力が充填され、チャンピオンが戦闘態勢を整え、わたしに防御魔法を行使して守りを固める。
「やばっ!?こいつ桁違いだっ…筋力、敏捷、耐久がブーストされてる」
「シロウ、離れてっ!そこに居ては危険だっ!」
セイバーも目の前のチャンピオンの異様さを感じ取り、自分のマスターを下がらせようと声を掛けた。
『クレッセントフォーム』
斧の先端が開いたかと思うとそこから魔力が噴出し、刃が形成される。それは死神の鎌のように弧を描いた大鎌に姿を変えた。
セイバーもその手に持っている見えない何かを構える。おそらくアレは彼女の宝具。何かの力でその姿を隠した彼女の武器だろう。
ジリッと両者が出方を窺う。
「クレッセントセイバーっ!」
チャンピオンが振りかぶった鎌を一振りさせると、その刃が打ち出されるようにセイバーへと飛んでいった。
「ふっ!」
セイバーのクラスは優秀な対魔力を持っている。目の前のそれを防御するまでも無いと感じ取ったのかセイバーはそのまま突進し、肩からその刃に当たっていった。
目論見どおりその刃は霞と消えたが、一瞬視界を奪った閃光に乗じてチャンピオンは接近し、再び纏っている光の刃を振りかぶり、セイバーを斬りつける。
「っ!?」
先ほどの物と一緒なら、セイバーの対魔力の前に維持できず、刃先が消失してしまうはず…しかし、セイバーは自分の手に持っている姿の見えない何かで受け止めた。
そうか。チャンピオンも類稀な対魔力を持っている。チャンピオンの魔術的な何かを打ち消す為に干渉するセイバーの対魔力を自分の対魔力で拮抗させてキャンセルさせたんだ。
流石に体を離れすぎたものには効果が無いみたいだけど、手に持った武器の魔力までは幾らセイバーの対魔力が高くても散らせないらしい。
ギィンギィンと甲高い剣戟の音が聞こえる。
見えない剣を正確に捌いていくチャンピオンに、その武器が大鎌と言う事もあり、慣れない相手に苦戦を強いられるセイバー。
二人の戦闘は距離を保ちつつ着かず離れずを繰り返していて、リンも援護のタイミングを逸している。それならとこちらに向かってガンドの魔術を放って来たが、それはチャンピオンの張ったバリアに弾かれて役にたたない。
ギィンと一際大きな剣戟が響いたかと思うと、セイバーとチャンピオンはお互いに距離を開けて対峙し、仕切り直しと言った感じで武器を構えている。
「…あなたにはこの武器が見えているのか?」
「だってそれって光を屈折させて透明にしているだけで、編んだ魔力を隠しているわけじゃない」
「なるほど、あなたにはこの剣の魔力を見ていたと言う事か。私には見えぬが、
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