第八十六話
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落ちるのを待って聖杯戦争が始まる。
いや、別に夜しか行わないと言うわけでは無いのだろうが、人目を避け、魔術の漏洩を最小限にすると言うのがこのゲームに参加する者の暗黙のルールなのだ。
「それじゃ、行きましょう、チャンピオン」
「はいはい」
「もー、もう少しやる気だしなさいっ!」
「とは言えあたりにサーヴァントの気配は無いし。まずは相手を探さないとどうしようもない。しかし、俺達にはそのサーヴァントが何処に居るのかと言う目処が全く無い」
「アサシンのサーヴァントなら気配遮断スキルを持っているから、あなたの索敵能力に引っかからない事もあるわ。それと、マスターは始まりの御三家からは優先的に一枠授けられる。アインツベルン、マキリ、トオサカの三家はこの聖杯戦争に必ず参加するでしょうから、マスターになりそうな人物の情報と居城は調べてあるわ」
「なるほど。それじゃ、そこに此方から出向くのか?」
「そう言う訳にもいかないの。いい、チャンピオン。魔術師の家と言うのは魔術工房の役割を持っている場合が多いの。特にここに何世代も根を下ろしている彼らの家は間違いなく魔術的な守りが施されている。対魔力の高いチャンピオンには傷一つつかない様なものだろうけれど、普通工房攻めは攻める方が不利なの。篭城されたら三倍の戦力が無いとって昔の偉い人が言っていたようにね」
「じゃあどうするんだ?」
「とは言え守ってばかりも居られない。聖杯戦争に勝つためには打って出なければならない時が必ず来るわ。だったらわたし達は逃げ隠れせずに歩き回り、出会った敵をを倒せばいいのよ」
当然でしょとばかりにイリヤは言った。
「それじゃ、とりあえず今日は?」
「適当に夜の散歩と洒落込みましょう。昨日のランサーがまたちょっかいをかけてくるかもしれないしね」
「了解」
日が落ちて気温の下がった夜の街をイリヤを連れて歩き回ったが、その日は全く成果なし。サーヴァントと出くわさないままにアインツベルンの森へと帰る事になったのだった。
◇
また夢を見る。
今度は日本のブケヤシキみたいな所で誰かが下働きをしている。
黒い髪、黒い瞳のその人は、やはり何処か人から距離を置いていた。
その彼も年頃になったのか、近しい女の子と一緒に学校へと通う事になる。
しかしその学校と言うのがとてもおかしい。昔キリツグから聞いたニンジャと言う架空のアサシンを育成する所のようだ。
シュリケンやマキビシ、クナイと言った現代ではその存在すらあやふやな道具の使い方を教わっている。
面白いなと思ったのは忍術だろうか。その男の子が手を変な感じで組み息を吸い込むと、吐き出した吐息が火の玉へと変わる。ニンジャなんて居ないってキリツグは言ってい
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