転換
第一の基点
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2人が着席すると伸び縮みする帯の様な物が現れ、身体を勝手に固定する。
微かな噴射音が響き、麻酔薬を散布。
3人が意識を喪った直後、パロ聖王宮の一角で大音響が轟いた。
ヤーンの塔を壊さぬ様に設計された地下格納庫、秘密の通路から異世界の秘蹟が出現。
空中浮揚の術を操る魔道師の如く、水晶の様に透き通る物体は周囲の重力場を操作。
レムスの見た夢の中の光景と同様、円盤状に姿を変えた星の秘蹟が空を舞う。
謎の物体は遙か彼方に消え去り、クリスタルの上空には銀色の軌跡が残された。
グインは、丸い瞳を開いた。
黄金と黒玉の戦士は軽く頭を振り、現実に心を引き戻す。
ヤーンの塔に隠された超科学の秘蹟、古代機械の解答に拠れば内部。
パロ聖王国の首都クリスタルを離れ、マルガ上空に移動した筈だが。
「ここは、何処だ?」
( マルガ郊外、星の森の上空です )
古代機械の《声》が、グインの脳裏に送り込まれた。
上空?
下にいる人間からは、どんな風に見えるのだろう
思わず生じた疑問に、機械が応えた。
空中浮揚する光の円盤を地上から見た3次元映像が、グインの脳裏に映る。
甦る記憶があった。
無人島から飛び立った、光の珠。
洞窟の奥に潜んでいた、古代機械に酷似する物体と異様な赤子。
嵐の夜に海へ身を投じた直後、水中を魚の様に自在に動き接近してきた輝く船。
グインを救い、『アウラ・カーの名において』と告げた光る人影。
「他の魔道師に盗聴されぬ様、アルド・ナリスと思考を交換する方法はあるか?」
要領を掴んだ豹頭の戦士は、素直に訊いた。
自分であれこれ考えるより、機械に聞いた方が早い。
( 精神波増幅装置の使用により、念話のコンタクトが可能です。
盗聴を防ぐ為に第3段階の思考波スクリーン、雑音妨害の併用をお勧めします )
「頼む」
短く答えると再び、光る管の纏わり付く兜の様な物体が頭の上に降下。
( セカンド・マスター<アルド・ナリス>の精神波周波数に同期《シンクロ》完了。
送信する思考をどうぞ )
グインの身体は無意識の内に動き、表層の記憶に無い習熟した仕草で丸い頭に装着。
まるで使い慣れた装置を使用する様に《思考》を閃かせ、精神接触《コンタクト》の確立を待つ。
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