転換
第一の基点
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そなたの民に守られ、鍵を開ける刻を待ちなさい。
暁の光は、常に、王と共に在るでしょう。
地上の闇ではなく、王の裡に在る見果てぬ闇を恐れなさい。
そなたには、総ての光と、闇を、組み込んであります。
光のみの道も、闇のみの道も、共に誤りと知りなさい。
王が正しい選択に拠って進んでいる限り、そなたは其の検証として、常にノスフェラスの消息と出会うでしょう。
ランドックの消息に遭うならば、王は、道を誤ったのです。
では、王よ…ランドックの帝王、豹頭の追放者よ。
アウラ・カーの名に於いて、祝福を)
9個の思考波を組み合わせた《パスワード》が再び閃き、深層の記憶に至る経路を遮断。
「北に一匹の豹が現れ、世界を守るでろう」
世界各地の霊域、神殿に記された予言の主。
異世界の暁渡り、次元間移動能力者の声が途絶えた。
永遠とも思える一瞬が過ぎ、記憶封鎖《メモリー・プロテクト》が復活。
グインの記憶には、何も残っていなかった。
不安を湛えた暁の瞳を瞠り、リンダが彼を見返している。
脳裏の片隅に遺された時空超越者の置き土産、催眠暗示命令《ヒュプノ・ブロック》が起動。
キレノア大陸全域の運命を担う異形の存在、ケイロニアの豹頭王は無意識に叫んだ。
「ランドックのグイン、アウラ・カーの名に於いて命令する!
4人全員を乗せ、マルガに移動せよ!!」
脳波伝達装置は精神波入力モード、レムスに憑依した竜王の黒魔道にも読み取れぬ。
思考波を遮断する異様な銀色の頭巾、鏡の様な兜の内部に銀色の《声》が響く。
( 第十三号転送機の移動は《ランドシアF》、メイン・システムの許可が必要です。
訂正、登録名<ランドックのグイン>は<ファイナル・マスター>として登録済み。
反重力推進機構の駆動、形状転換《トランスフォーム》を希望されますか?
飛行形態に移行する事で、大気圏内を超音速で移動可能となります )
「許可する、飛行形態に移行せよ!」
グインは機械特有の論理的、杓子定規な確認に怒鳴り声で応じた。
「どうなってるの、グイン!
飛行形態って、何の事!?」
リンダは荒れ狂う感情を抑えきれず、悲鳴を上げるが。
アドレアン公子も驚愕の展開、理解不能な異常事態の連続に怯えていたが。
ケイロニア王は恐慌状態の大波を懸命に堪え、沈黙を守る若武者を見直した。
「俺にも、よくわからんが。
古代機械ごと、マルガに行けるらしい。
リンダ、アドレアン、そこに座れ!」
何が起こるか分からないのは、グインも同じだ。
指示に従って、行動するしかない。
《コンソール》に着席した儘、スニを受け取り茶色の椅子を指さす。
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