第5話 地図やガイドブックを持ってても迷う時は迷う
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る。
これは好機!
そう思い化け物は大きく腕を奮った。だが、その直後、化け物の右半身が地面に倒れこんだ。何事かと思った時には既に勝負は決していたのだ。フェイトの一閃が化け物を縦一文字に両断したのである。
正に一瞬の早業であった。そして、真っ二つにされた化け物は光となりおその姿を消していく。光が収まると、其処には青い宝石と小さな子猫が横たわっていた。
「良かった。この子は無事みたい」
子猫が無事なのを見て安堵するフェイト。そして、視線を青い宝石に変える。
「これも無事だった。早く回収しないと」
そう呟き、バルディッシュの穂先をその青い宝石に向ける。すると、青い宝石は吸い込まれるかの如くバルディッシュの中へと消えてしまった。それを終え、フェイトは軽く溜息を吐く。一瞬の戦闘でも人は神経を使う。ましてや命のやりとりのある戦闘では尚更の事だ。それをフェイトはこんな幼い体でやってのけているのだ。
「そうだ、あの子!」
戦闘を終えたフェイトは、先ほど助けたなのはの方へと駆け寄った。未だに意識を失っているのかぐったりしている。
幸い外傷はないらしく呼吸も安定している。
「それにしても、この子の服装って何だろう?」
フェイトはなのはの今の服装に疑問を感じていた。普段彼女が愛用する服とは何処か違うのだ。長い布で体を覆っている感じである。色は白地であり足元には桜の花びらが描かれている。
その奇妙な服装も先ほどの戦闘でかなり傷んでしまっていた。所々擦り切れており泥もついている。
話が脱線し始めている事にフェイトは気づいた。今は彼女の服装ではない。何故この子が結界内に入れたのか。それを確かめる必要があるのだ。
「ちょっと、調べさせてね」
暗黙の了解の下、フェイトはそっとなのはの体に手を置いた。そして、フェイトは感じ取った。なのはの体内に眠るジュエルシードの存在に。
ギョッとしたフェイトは思わず手を離し、なのはを見た。
彼女の中にジュエルシードが寄生しているのだ。だが、妙であった。寄生したジュエルシードは起動し、ロストロギアになる筈だ。だが、このジュエルシードは全くその兆候が見られない。一体どう言う事なのだろうか?
「とにかく、このままこの子を此処には置いておけないよね」
一人でそう頷き、フェイトはなのはを抱き抱えて空へと飛び上がった。空は既に日が沈み満天の星空と満月が顔を出す時刻となっていた。
その漆黒の夜空を、フェイトは飛び去って行った。抱き抱えていたなのはを連れて。
つづく
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