第5話 地図やガイドブックを持ってても迷う時は迷う
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はを睨んでいた。
【これは、どう言う事だ? 理由は分からんが、こいつは我々にとって脅威となる……力が弱い内に破壊しなければ】
先ほどとは一転し、化け物が殺意を放ちだす。動かないなのはの体目掛けて鋭い爪が生えた太い腕を振り上げる。そして、それを迷う事なく一直線に振り下ろした。
鋭い爪が地面に突き刺さる。だが、其処になのはの姿は何処にもなかった。其処に居た筈の幼い少女の体は何処にもなかった。
辺りを見回し獲物を探る。その獲物は案外近くに居た。
化け物から丁度右に90度位振り向いた所に少女は居た。だが、ぐったりしたまま動かない少女を見た事のない別の少女が抱き抱えて立っていた。
金色の髪に黒いマントを羽織った少女だった。年的にはなのはと同じ位に見える。
「広域結界を張っているのに何でこの子は此処に……」
金髪の少女は自分が抱き抱えているなのはを見ていた。現在、このエリア一帯は民間人の入れないように広域結界を張ってある。これを張る事により一部の人間以外は入れない特殊空間となる。しかも、この空間内では幾ら建築物や物を破壊しても結界内では壊した事にならず、結界を閉じれば全てが元通りになると言う正に便利な機能なのだ。
そして、その結界内になのはが居る事にこの少女【フェイト・テスタロッサ】は驚いていたのだ。
だが、今は詮索をしている暇はない。目の前には殺意をむき出しにした四速歩行の化け物がこちらを睨んでいる。考えるのは後回しにした方が良さそうだ。
「御免ね。すぐ終わらせるから」
そっと地面になのはを降ろし、フェイトは化け物を睨む。手の甲に取り付けられていた三角形の物体を手に取り握り締める。
「行くよ、バルディッシュ!」
【サー、イエスサー!】
物体から声が発せられたかと思うと、それは瞬く間に杖の形へと変貌した。その時間は実に0.5秒程度であった。では、その変化プロセスをもう一度見るとしよう。
え? 時間の無駄だから良いって? 分かりました。それでは本編をどうぞ。
杖状となったバルディッシュを両手で握り締める。穂先から金色の刃が姿を現す。その様はまるで死神の鎌であった。
化け物が雄叫びを挙げる。どうやら獲物を完全になのはからフェイトにスイッチしたようだ。太い腕を振り上げてフェイトに襲い掛かる。
刹那、フェイトの姿が薄くなっていた。かと思うとその薄くなったフェイトはすぐさま消え去ってしまった。その光景に化け物は仰天する。
一瞬の内にフェイトを見失ってしまったのだ。
辺りを見回し見つけようと懸命に探す。
「私は此処だよ!」
声がしたのは背後であった。振り向こうとしたが間に合わなかった。その時には既にフェイトがまた化け物の前に居たのだ。今度は化け物に対し背を向けてい
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