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第六十話 剣の一つの究極は――
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した口調でそう言いながらキリトはサラマンダーのもとに歩み寄っていくと――

「よ、ナイスファイト」

と言って相手を褒めた。まさか褒めらると思っていなかったサラマンダーは目をまるくした。そんなことお構いなしにキリトは言葉を続ける。

「さて、ものは相談なんだがキミ。これ、今の戦闘で手に入れたアイテムなんだけど、俺たちの質問に答えてくれたら、これ全部キミに上げちゃおっかなーなんて思ってるんだけどなー」

メニューウインドウを見せながら言うキリト。すると、生き残ったサラマンダーはきょろきょろと周りを見渡した後、キリトに確認するように聞いた。

「・・・マジ?」

「マジマジ」

にやっと笑みをこぼしながら言うキリトを見たサラマンダーもにやっとした笑みを浮かべる。交渉は成立したようである。



サラマンダーから事情を聞いた後、ソレイユたち一行はルグルーへと足を運び現在は必要なアイテムの買い揃えと軽いウインドウショッピングを楽しんでいる。

「そう言えば、ソレイユ君」

「ん〜?どうした?」

リーファの呼びかけにソレイユは立ち止まり振り返る。

「さっきの戦闘で盾を持っていたサラマンダーたちを簡単に倒してたけど・・・あれってどうやったの?」

「あー、あれね」

キリトのようにパワーに頼らないで戦うリーファの視点で考えれば、ソレイユのような技術は身に着けておきたいと考えても不思議ではない。

「あの時も言ったが、有名な剣術家が残した言葉を実行しただけだ。そう、おれがやったのはたったそれだけのことだよ」

あれだけのことを成しといて“たったそれだけ”としか言わないソレイユ。そう言える実力者がはたしてこの世界に何人いるだろうか、とリーファは戦慄するしかなかった。もはや別次元の強さだと思わざるを得なかった。“剣士”としての格の違いを見せつけられたような気さえしたのだ。

一人の剣士が導き出した一つの究極。それが“刀身一体”。これは剣士だけにあてはまることではない。武器を持つもの全てに言えることである。己が手にする武器を道具として扱っているうちは未熟者であり、武器と一つになれてこそ初めて熟練者と言えるのである。

「まぁ、あれだ・・・」

「あれって?」

聞き返すリーファにソレイユは微笑みながら口を開いた。

「おれが強いってだけのことだよ」

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