第八章 望郷の小夜曲
第七話 捜索隊
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違い魔法学院の制服であったため、その短いスカートが捲り上がり、奥に隠された黒い布の姿を露わにしていた。それに気付いたシエスタが慌てて捲り上がったスカートを元に戻すと、周りから露骨に大きな舌打ちが聞こえたが、顔を上げた時にはこちらを向く人の姿などなかった。
溜め息を付きながら寝転がる二人を見下ろすと、何時の間にかキュルケがその大きな胸でルイズの顔を挟み込むように眠っていた。
その様子に何処か微笑ましげな笑み浮かべたシエスタは、腰に手を当てぐいっと勢いよく背を伸ばし、料理の続きをするためかまどに向かって歩き出した。
「喧嘩するほど仲がいいって言うけど、まさにそんな感じの二人だね」
「そうですね。実際二人ともとっても仲が良いと思いますよ。きっと聞けば絶対に否定しますけど」
大鍋にこれまたバッグから取り出した具材を放り込み何やら煮込み始めたシエスタの隣に立ったロングビルが声をかける。猫の姉妹のように二匹絡み合って眠りこけるルイズとキュルケを見下ろす顔には、笑みに呆れを混じらせるという奇妙な表情が浮かんでいた。
「ま、大丈夫そうだし。私はちょっと出てくるけど。気をつけなさいよ。戦争が終わったばかりで治安が悪いなんてもんじゃないんだから。女だけの私たちなんか格好の鴨だからね。何かあれば直ぐにそこの二人を起こしな」
「ミス・ロングビルは何処に行くんですか?」
煮立ち始めた大鍋の中をかき回しながら、顔だけ振り向いてくるシエスタに、ロングビルは肩を竦めてみせた。
「ちょっとね。直ぐに戻ってくると思うけどね、本当に気をつけときなよ」
「わかりました。ミス・ロングビルもお気を付けて」
「味の方はどうですか?」
「んぐ? ん、美味しいわよ」
「ま、中々ね」
仲良く一緒に寝ていたルイズたち二人は、シエスタの料理が終わる頃になると、漂ってくる匂いで起き始めた。キュルケの胸に挟まれるような形で目が覚めたことで、ルイズが何時もの如くキュルケに喧嘩を吹っ掛け始めたが、それはシエスタがシチューをよそった木のお椀を二人の間に割り込ませることで止めた。
「で、ミス・ロングビルは何処に行ったの?」
「さあ、直ぐに戻ってくるって言ってたんですが……ちょっと遅いですね。探しに行きますか?」
「問題ないと思うわよ。あの人がそう簡単にやられる筈ないし」
自分の分をお椀によそっていたシエスタが立ち上がり、ロングビルを探しに行こうとしたが、それをキュルケが止めた。お椀と一緒に渡された木のスプーンでお椀の中身を掻き込みながら、キュルケが何の心配を見せない様子でシエスタを横目で見ている。
「ふ〜ん……随分と信頼しているのね。ミス・ロングビルってそんなに強いの?」
「……あなた分からないの?
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