第八章 望郷の小夜曲
第七話 捜索隊
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――」
「―――あなたには関係ないんですから」
ジロリ睨めつけられた視線に、すごすごと引き下がろうとした。が、しかし、シエスタが次に口にした言葉で、キュルケの身体がピタリと止まった。
「ちょっと待ちなさい」
「何ですか?」
鋭い声が、ルイズに詰め寄るシエスタの動きを止めた。
「誰が関係ないって?」
シエスタが振り返ると、そこには艶然と微笑むキュルケの姿があった。キュルケはその豊かな胸の下で腕を組み、強調するように持ち上げている。見下ろすような視線を向けられるシエスタだが、怯える様子は全く見えない。それどころか、キュルケには一歩劣るがそれでも豊かな胸の下に腕を組み、同じように強調しながらシエスタは迎え撃つように向き直った。
「あなたのことですけど何か?」
「へぇ〜……いい度胸じゃない。いいわ。相手になってあげる」
全く引く様子の見えないシエスタの姿にキュルケはスッと目を細めると、深い胸の谷間から小さな杖を取り出した。
「ちょ、待ちなさい二人共」
とうとう杖を取り出したキュルケに、シエスタの手から自由になったルイズが慌てて二人の間に割り込む。両手を広げ、ルイズは出来るだけ二人を離そうとする。だが二人は間のルイズを気にすることなくどんどんと距離を詰めていく。必死の抵抗虚しくルイズは、二人の歩みを止められない。結局二人の胸に挟まれる形となったルイズは、ずっぽりと二人の胸の間に顔が挟まれたことになってしまった。身動きどころか息すら出来なくなったルイズは、必死に逃げ出そうと両手を振り回し始めると、流石に鬱陶しくなったのか、キュルケが眉根に皺を寄せた。
「どきなさいルイズ。このメイドに誰に喧嘩を売ったか教えてあげないといけないのよ」
「待て、って言って、るで、しょ。杖、なん、か出してど、うするつも、りよ。シエス、タも挑、発しない、でっ」
「挑発なんかしていません。ルイズなら分かるでしょ。女にはどうしても引けない時があるって―――今がその時です」
「だから、って」
同じく顔も向けずに言い放つシエスタの姿に、ルイズは巨乳という大波に飲み込まれながらも、何とか息継ぎと共に二人を説得しようとする。
「ふぅん……いい度胸ね」
「……これくらい、シロウさんの相手をする時と比べたらどうってことないですよ」
キス出来る程の距離で睨み合うキュルケとシエスタ。睨み合う二人の身体の隙間からは、ぴくぴくと痙攣している一本の腕が突き出ている。腕の持ち主はルイズ。どうやら二人の豊満な胸に顔が完全に埋まってしまい息が出来ないようだ。
死にかけの虫のように、時折ピクピクと動くルイズに全く視線を向けず、至近距離で火花が出るほどの眼光で睨み合っている二人。
張り詰めた空気。
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