第八話「準備 ~tabane~」
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れましたわねぇ」
「うるさいですわ」
男達の言葉に、真紅と漆黒のドレスの少女は拗ねたようにそっぽを向く。
「まさか、いっくん?」
「その通り。さて…さん、悪魔と相乗りする覚悟はあるかな?」
男は、女性の眼前に手を差し伸べる。
「それで、助かるなら、……ちゃんを、悲しませないなら、何であろうと相乗りするよ」
女性は力強く宣言すると、男が差し出した手を取る。
「四糸乃、止血を」
「…えと、了解です」
『合点承知の助さ!』
「夕弦と耶倶矢は彼女を運んでくれ」
「お安い御用よ」
「承知」
「美九、十香達が彼奴らと接触した。処理を」
「はいですわぁ」
「狂三は俺とここに残ってくれ。別働隊が来るかもしれない」
「了解ですわ」
「聴こえてたか、琴里?」
『ええ。今、彼女を転送させるわ』
自分の体が浮き、何処かへ運ばれているのを理解し、傍らには自分を慕ってくれる少女の温もりを感じながら、女性は意識を手放した。
第八話「準備 ~tabane~」
「ここが、ウェストコットのピットだ」
試合当日、一夏は千冬の案内でアリーナの中を回っていた。
さらに千夏と箒も、一夏のピットが通り道のため一緒にいる。
「待ってたよ、いっくん」
「お待ちしておりました、一夏様」
出迎えたのは、スラッとした黒髪をストレートに下ろす白衣の女性と、黒い杖をつくウェーブがかかった銀髪の少女だった。
「「束(さん)!?」」
「ッ!?」
白衣の女性の容姿が、現在国際指名手配中のIS開発者の『篠ノ之束』に瓜二つなことから、三人は驚愕する。
それに対し、女性はやんわりと微笑む。
「束とは篠ノ之博士のことでしょうか?確かに私の名は束ですが、違います。初めまして・・・・・、織斑千冬殿。私はDEMインダストリーの技術開発の主任、『月兎げっと束』と申します」
「同じく、技術部門の主任補佐をしている『クロエ・クロニクル』です」
「あ、ああ。失礼、知り合いに似ていたもので」
名刺を渡され、言葉や態度から自分が知っている篠ノ乃束に似ていないことから、千冬達は別人だと判断する。
「いえ。世界には同じ顔の人物が三人いると言いますし、間違えられるのは慣れてますので」
どこか含みがあるように感じる物言いに、千冬達はたじろぐ。
その時、何故か一言も発することなく、よく見ると小刻みに震えている箒に、クロエが近付いた。
「……ご安心を。……本物は死んだのでしょう?」
耳元で箒だけに囁かれた言葉に、箒は幽霊にでも出会ったかのような視線を送る。
「貴様、何を言っ!?」
「織斑くん織斑くん!!」
箒の言葉は、走ってきた真耶の声に掻き
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