第一幕その二十二
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ョヴァンニを見据えていた。
「今ここで。悔い改めるのです」
「戯言を」
だがジョヴァンニはエルヴィーラのその言葉を一蹴した。
「私に悔い改めろというのか」
「さもなければ貴方のことが世界に知れ渡り」
「結構なことだ」
ジョヴァンニはこのことを一蹴した。
「私の名が知れ渡るのならな。結構なことだ」
「その悪事が知れ渡るでしょう。そして何時か裁きの雷が落ちることでしょう」
「雷であろうと嵐であろうと」
ジョヴァンニはエルヴィーラに何を言われても怖気付くことさえなかった。
「私は恐れぬ。世の終わりが来ようとな」
「嵐なんてものじゃないよ」
五人は今まさにジョヴァンニを取り押さえようとしている。しかしここで召使達は混乱したのか部屋の灯りを次々に消していく。場は次第に暗闇に包まれてきている。
「けれど旦那は恐れることなんてないし。どうなるんだろうな、一体」
「ではレポレロよ」
「あっ、はい」
ここでレポレロに声をかける。彼もそれに応える。
「去るぞ」
「去るぞって」
「この場を去る」
「あっ、ちょっと旦那」
「待つのです!」
エルヴィーラが先頭に立ってジョヴァンニを追おうとする。だがそれは適わなかった。
「あっ、暗闇が!」
「ドン=ジョヴァンニ!」
「一体何処に!」
「闇夜は私の永遠の味方だ」
ジョヴァンニはレポレロと共に闇の中に消えながらこう五人に告げた。もう部屋の中は完全に真っ暗闇になっており驚く村人達の声が木霊する。
「誰が消したんだ!」
「何も見えないぞ!」
「さらばだ!」
その中でまたジョヴァンニの声が聞こえた。
「私を悔い改めさせることなぞ誰にもできぬ!」
最後にこう言い残して何処かへと消えた。しかしエルヴィーラも他の者達も諦めてはいなかった。
「次こそは」
「必ず」
暗闇の中で歯噛みしていた。騒動はまだ続くのだった。
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