第三十二話 図書館その十二
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「それが楽だからね」
「パジャマじゃないのね」
「違うのね」
愛実と聖花はここまで聞いて言った。
「ネグリジェとかシャツでもないし」
「本当にリアルのアラサーっぽいわね」
「で、あんた達は何着て寝てるのよ」
今度は花子さんが二人に尋ねてきた。口裂け女と共に飲み酢昆布をくちゃくちゃとさせながら尋ねてきた。
「今さっきパジャマって言ったけれど」
「ええ、そうよ」
「パジャマよ」
二人共夜の服はこれだった。
「基本赤とかピンクでフリルの多いね」
「私は青とか水色で、すっきりしたのをね」
「成程ね、まだお色気路線にはいってないのね」
「お色気って。そんなね」
「ネグリジェとか下着はね」
そうした格好で寝るのは、というのだ。
「よjく上にセーターかブラウスだけ着てっていうのあるけれど」
「そういうのは恥ずかしいから」
「そうそう、夜に起きておトイレとか行く時に家族に見られたら」
「凄く恥ずかしいから」
「色っぽいとかならないの?」
花子さんがネグリジェ等を否定する二人にこう問うた。
「そういう考えには」
「だって、ねえ」
「そうよね」
二人は花子さんの言葉を受けて顔を見合わせる、そしてこう話したのだった。
「別に彼氏とかいないし」
「家族ばかりだしね」
「家族にそういう姿見られるのもね」
「何か変だし」
そしてやはり恥ずかしいというのだ。
「だから今もパジャマよ、寝る時は」
「大人になったらジャージになるかも知れないけれど」
「色気ないわね。まあ私も寝る時は体操服だけれどね」
花子さんは自分の寝る服についても語った。
「上は普通の白い体操服で下は赤い半ズボンよ」
「あれっ、花子さんの頃って ブルマじゃないの」
「確か昔そうだったわよね」
「昔はそうだったわ」
実際にブルマだったというのだ、かつては。
「けれど今は半ズボンよ」
「あっ、もうブルマがなくなったから」
「それでなのね」
「そう、私も半ズボンになったの」
ブルマがなくなり花子さんも半ズボンに穿き替えたというのだ、そしてその姿で寝ているというのだ。
「ちなみに寝ている場所はおトイレじゃないわよ」
「じゃあ何処なの?」
「何処で寝てるの?」
「その都度適当な教室で寝てるわ」
そこでだというのだ。
「お布団敷いてね」
「ふうん、そうだったの」
「おトイレでは寝てないのね」
「何かね、おトイレって横になっても落ち着かないからね」
トイレは花子さんの棲家だ、しかし寝たりするにはどうにも落ち着かないというのだ。
「だから寝る場所は教室なのよ」
「成程ねえ、ところでろく子さんは?」
愛実は花子さんとの話を聞いてそして言った、図書館の中を見回してもろく子の姿は見えない、急に消えていた
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