第五十三話
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どう攻めるか考えあぐねていたところ、使い物にならない左手が無意識に、胸ポケットの《カミツレの髪飾り》を触っていることに気づいた。
――使えというのか。
一度PoHに殺されたことより発現した、恐怖が軌跡として見えるようになるという《恐怖の予測線》……攻撃が予測出来るのだから、あまりにも高速でない限りは避けられるようになるが弱点はある。
時間制限を過ぎれば頭痛が走り、そうなってしまえばヒースクリフの一撃は確実に俺を襲い、その命を狩り取ってしまうだろう。
デメリットが多すぎてやり直しも効かないのだ、発動するにはリスクが多すぎて躊躇われる。
しかしどうするか……と思考が堂々巡りになった時、ヒースクリフから俺に向かって言葉が放たれた。
「《恐怖の予測線》……とやらは使わないのかね?」
ヒースクリフのまさかの言葉に、俺は衝撃を受けて身体が動かなくなってしまう。
俺は発現してから少なからず《恐怖の予測線》を使っているが、リズ以外にこのことを話したことはなく、それ故に隠し玉となっているのだ。
「『何故お前が知っている』……と、言いたそうな顔をしているね。なに、私はこれでもゲームマスターだからね、目を付けているプレイヤーのデータぐらいは記録しているさ」
そのヒースクリフの言葉で思い出すのは、俺の心理を見透かしたような発言をしたメンタルカウンセラーNPC、キリトとアスナの娘のユイのことだった。
彼女のようなプレイヤーのデータを読み取るNPCが何人かあの浮遊城にいたのか、それともユイと会った時に読み取られたのかは知らないが、《恐怖の予測線》は隠し玉として有効でないということか。
「殺されそうになった……いや、殺されたが故の生への執着心から、か」
「人のことを、勝手に分析してるんじゃねえ……!」
結局《恐怖の予測線》を発動することはなく、日本刀《銀ノ月》による足元への斬撃がヒースクリフへと襲いかかった。
ヒースクリフは狙われた片足を浮かすことで、その斬撃を回避するが、その軸足を浮かすことこそ狙い目だ……そのまま足刀《半月》による蹴りの追撃が胴体に殺到する。
ヒースクリフもただ蹴られることを甘んじて受けることはなく、その十字剣で足刀《半月》を防御し、そのまま俺の足を切り裂かんと十字剣に力を込める。
先程足刀《半月》と十字剣で斬り合った際、呆気なく俺は吹っ飛ばされてしまったのだ、このままではまた同じ結果になってしまうだろう。
「はっ!」
そこで俺は日本刀《銀ノ月》を鞘にしまいつつ、俺は十字剣を足場にして――皮肉にもヒースクリフの筋力値に支えられ――大空へと飛び上がった。
「ほう……」
ヒースクリフの感心したかのような声を足元から聞きつつ飛び、用意するのはポ
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