第四章
このクラスはとりあえず、まあ……大変そうである。
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お……ちょっと、もう勘弁してよ(笑)な「あーしロール」さんは瞬間、顔を強張らせた。
あーしロールは、自分が数年来手懐け飼い慣らしていた民に、無理矢理に連れられ処刑台の前に立たされた女王のような……。そんなニュアンスを感じられるような呆然とした怒りの表情を、その強張った顔に浮かべた。
今の今までどんな無理難題を押し付けて、妥協させ続けていた由比ヶ浜さんに、自分の要望を聞き入れて貰えない。――考えてみればそれは当たり前だ。しかし、女王はいつも、そしてどんな小規模でも、世間知らずで常識はずれ。彼女からすれば当然で、くだらないことも、くだらなく『裏切り』に映ってしまうのだろう。
バカな話である。全く、事実は小説より奇なりとは、別段大したこともない。実に創造性に溢れた言葉だ。
――そんなこともチョコパンが美味いのと同義である。……興味もわかないな。
「は、え、ちょ、なになに?なんかさー、ユイこないだもそんなん言って放課後ばっくれなかった?ちょっと最近付き合い悪くない?」
「やー、それはなんて言うかやむにやまれぬと言うか私事で恐縮ですと言うか……」
――くだらない。相変わらずだ。
最早くだらないと思うことすらくだらない。
俺は普段より、物事に関して面白いと感じることは、まずない。大抵はそんな風にデタラメを吹き回して、無価値に生きている。しかし、……しかしだ。
感情の変化に乏しい俺を、仮にゼロとするなら、面白くない普段をゼロとするなら、今現在の不愉快な俺は、確実に不機嫌だ。
マイナスだから興味がないに越したことはないが、これはダメだ。あまりにも邪魔すぎる。
……不愉快だった。
由比ヶ浜さんに「きっと助けてはくれない」と、信頼されている俺ではあるが……。俺は、まだ信用できずにいる。考えてもみろ。自分のことを殺してくれると信じてた、と笑って言う人間がいるか?残念ながらそんな彼女ににこやかにナイフを突き刺せるほど、俺はもう『無関係』でない。我ながら中途半端になってしまったものだ。
「それじゃわかんないから。言いたいことあんならはっきり言いなよ。あーしら、友達じゃん。そういうさー、隠しごと?とかよくなくない?」
「ごめん……」
――信じられないのは俺の方で……。彼女は本当に俺を信じてくれているのだろうか?
「でもどうだっていいんだ」
そう苦しげな顔をして、ぼやきつつ……席を立ち上がる。
しかし、俺はすぐに顔を崩してニヤッと笑った。――どーでもいい。悪いが俺にこだわりはない。……こだわるのは、もうコーヒーだけで手一杯だ。
そしてなんと言う偶然だろうか。なんと言うか真面目に考えるとそれはたまたまである。
――比企谷八幡。友達も彼女も、サークルも、群れも、愛と勇気すらも共に
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