第四十四話 決戦(その三)
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し、参謀達は顔面を強張らせて“何が起きた!”などと叫んでいる。あんまり騒ぐんじゃない、不安が増すだけだ、参謀達を睨みつけて黙らせた。
「艦隊を後退させます」
メルカッツの進言に頷いた。このままでは被害が増えるだけだ、後退せざるを得ない。多分、ヤンは突っ込んでくるだろうな。四つに組んでの戦いか……、分が悪いな、厄介な事になった……。いや、どこかでこうなるのは分かっていた事だ。これは想定内の事なのだ、まだ負けたわけじゃない。弱気になる必要は何処にもない。
それにしても上手くしてやられた、これまでの丸一日半の攻撃はこれのためか……。平凡な攻撃を繰り返す事でこっちを油断させた。いきなり攻撃方法を変える事で混乱を誘った。見事だよ、ヤン。やっぱりお前は戦争大好き人間だと言う事が良く分かった。俺の忠告も無視してくれたしな、この礼は高くつくぞ、楽しみにしてるんだな。
「してやられましたか……」
「頭領?」
「ウチだけじゃないようです、他の艦隊も被害を受けている」
メルカッツが戦術コンピュータのモニターに視線を向け、そして表情を厳しくした。どの艦隊も押し込まれている。つまり、ヤンだけじゃない、同盟軍としての作戦であり攻撃だ。
「各艦隊に命じてください、無理せず後退せよ」
「各艦隊に命令、無理をせず後退せよ、損害の軽減を図れ!」
メルカッツが命令を出し終わるのと同時にオペレータが叫んだ。
「反乱軍、陣形を変えつつあります!」
戦術コンピュータのモニターはヤンが紡錘陣形を取りつつある事を示している。中央突破を狙うか、どうやら他の艦隊も同じらしい。
「参謀長、後退しつつ陣形を縦深陣に変えましょう」
「はっ。後退しつつ陣形を縦深陣に変えます」
メルカッツが陣形を変えるために指示を出している。それを聞きながらもう一度モニターを見た。ミュラーは後退しつつあるようだ、こっちと動きを合わせようと言うのだろう、問題は無い。問題はルッツとワーレンだ。拙いな、カールセンが二人を分断しようとしている。突破されたらお仕舞いだ。或いは真の狙いはこっちかもしれん……。と言ってメルカッツは陣形を変えるので手一杯だ。参謀達を見た、顔面蒼白だが少しは落ち着いたか。
「副参謀長、ルッツ、ワーレン艦隊に命令。後退しつつ両艦隊でV字陣形を取れ。カールセン艦隊の突破を許すな!」
「は、はっ」
おいおい、目を白黒させてどうするゾンバルト。特等席で見物させてるわけじゃないぞ。お前も戦力の一部なんだ、しっかりと働いて貰う。
「全艦、ヤン艦隊の先頭に攻撃を集中せよ! 急げ!」
俺の命令をオペレータ達が全艦に伝えている。攻撃が先頭に集中されれば少しはヤン艦隊の進撃を遅らせる事が出来るだろう。メルカッツの作業を助ける事にもなるはずだ。まだまだだ、不意は突かれた
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