第三十一話 怪談話その七
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「怖いわね」
「だよなあ」
「というか夜の校舎とかって怖いわよ」
「昼は全然そう思わないのにな」
「だから夜にこの建物を見ても」
赤煉瓦、それを見てもだった。
「相当怖そうね」
「十二時とか本当に出るんじゃないかしら」
彩夏は松も海もグラウンドも、そして赤煉瓦も見つつ言った。
「そう思えるわね」
「あと夜の海はね」
ここで里香は松の向こうに見える海を見つつ話した。
「物凄く危ないから」
「ああ、鮫もいるしな」
美優は沖縄生まれの立場から海のことを言う。
「それにエイもな」
「そこが一番危ないかも知れないわよ」
「夜の海は、この辺りにはそうした話はないですが」
自衛官も五人に話してくる。
「九州の同期から言われたんですけど夜の海から人を殺す妖怪がいるって言われてます」
「妖怪、ですか」
「それが出るんですか」
「磯女っていう妖怪らしくて」
その妖怪が出るというのだ。
「碇から上がって来てそれで漁師を襲うらしいんですよ」
「何か怖いですね」
「そんな妖怪がいるんですね」
五人もその話を聞いて言った、五人の中には九州出身でないのでこの妖怪の話は知らなかったのである。
「碇から上がってですか」
「それで襲って来るって」
「だから夜の海は怖いと」
そう言われているというのだ。
「これは長崎の話らしいです」
「何かどっかにもそんな話ない?」
琴乃はここでこうも言った。
「海から出て来る女の人の妖怪って」
「濡れ女とか?」
里香がこの妖怪の名前を出して来た。
「その妖怪?」
「濡れ女って」
「そう、川とか海にいる下半身が蛇の妖怪でね」
上半身は女だがそlこから下が違うというのだ。
「その妖怪も人を襲うのよ」
「それ何処の妖怪だったかしら」
「新潟よ」
そこの妖怪だったというのだ。
「確かね」
「ううん、新潟ねえ」
「そうしたお話があるそうよ」
「神戸だったら牛だけれど」
牛女のことだ、この妖怪は兵庫の代表的な妖怪の一つだ。
「新潟だと蛇なのね」
「磯女の姿は色々言われてるそうですが」
自衛官は彼の同期から聞いた話をしていく。
「下半身は蛇って話もあるそうです」
「濡れ女と同じですか?」
「姿は色々言われてはっきりとわからないそうです」
妖怪の姿はその都度変わったりする、それはその磯女という妖怪もまたそうであるらしい。
「けれどその中の一つで」
「蛇もあるんですね」
「大体髪の毛で血を吸いますね」
「濡れ女も人の血を吸うから」
里香がこのことを言い加えてきた。
「似てるわね」
「そうよね」
「新潟と九州は離れてるのに」
「それでもね」
五人はこのことに気付いた、そして共に海を見て。
そうしてだ、こう言う
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